
これは、友人の友人が本当に体験した話とのことである。
ただし、私自身昔同じような話を聞いたことがあるから、多少眉唾ものだ。
それはクルンテープ(タイの首都バンコクのこと)での話だ。
赴任したばかりのその男が、現地の結婚式に招待された。
彼に祝辞の番が回ってきた。彼は海外は初めての上英語力に自信がなかったから、精一杯笑顔で大きな声でこう言った。
キレイ、キレイ、キレイです。
と、それまで笑い声の絶えないなごやかな空気が一瞬にして凍った。
彼は、ひどく焦ったが、もう一度花嫁にぎこちない笑顔を投げ掛けて言う。
本当にキレイ。
と、花嫁の親戚らしい男がやって来たかと思うと、彼の横っ面を目一杯ひっぱたいた。
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話が出来すぎているから、どこまで本当かはわからない。
が、ありそうな話ではある。
タイ標準語でキレイは、不細工、ブス、あるいはさらに汚い意味をもつ。
タイに少しでも住んでいればわかることだが、もし本当なら不幸なことだ。
2、3年前、会社のトップ連中がベトナム、タイあたりに行ったことがある。
その前に私は彼らに、現地で使ってはいけない何点かの言葉集を作りメールしておいた。
普段の仕事では鼻にもかけられないが、これは1人を除いて持参したらしい。
もちろん、タイでは使わない方がよい言葉に、これも載せた。
蛇足だが、日本人がよく使う相づちの“はい、はい”も、場所によってはひどい勘違いをされ評判を落とすことになる。
ハイとは“あげます”と言う意味なので、相手は誉めた時計でももらえると勘違いしてしまうからだ。
さらに、やはり相づちのつもりで“ほいな”とか“ほいきた”なんて言うのは危険だ。また、英語の三人称単数heは、最も危ない言葉の一つである。
私の長年の真摯な研究によれば、h音f音、及びその原音であるb音、p音、b音の変化音のm音などは、世界共通のあるものを表す。
この話を始めると、いつ家に着けるかわからなくなるから、ここまでとしておこう。
いやあ、しかし、明日起きられるかなあ。