実のひとつだになきぞ悲しき | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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江戸を切り開き、坂東の湿地の中にある丘に江戸城を建てたのは徳川家康と思われがちだ。 
しかし、本当に最初に江戸城を建てたのは太田道潅こと太田資長である。 

道潅の銅像が、東京フォーラム内、東京駅と有楽町の間あたりにあった気がする。 


太田道潅は歌にも秀でた才能があったと言われているが、そのきっかけとなったのが中学校や高校の古文の教科書にも載っている逸話だ。 



ある時、若い道潅が雨にあい民間に蓑(昔使われた、ワラ製のカッパ)を借りようとしたところ、その屋の女主は、蓑ではなく山吹の花を差し出した。 



道潅は憤慨するが、後に長老から、「それは、蓑を貸したいけれど無いのだ、ということを山吹に託したのだ」と教えられる。 

以後、道潅は自分の無教養を恥じ、歌の勉学に励んだという。 



今、山では山吹が花をつけ始めた。 



梅雨を実感する花である。 



しかし、それにしちゃ暑いですなあ。






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七重八重 花は咲けども 山吹の 実の(蓑)ひとつだに なき(泣き)ぞ悲しき