それは私がまだ二十歳前のこと | しま爺の平成夜話+野草生活日記

しま爺の平成夜話+野草生活日記

世間を少しばかり斜めから見てしまうしま爺さんの短編小説や随筆集などなど
★写真をクリックすると、解像度アップした画像になります。

タクシー運転手さんとのオモシロ会話 ブログネタ:タクシー運転手さんとのオモシロ会話 参加中



確かどこかの山に登っての帰りのことです。 

なぜかは忘れましたが、学生の分際で、下宿までの僅かばかりの距離をタクシーに乗ったのです。 


あるいは山登りではなく、当時学生バイトの三倍くらいもらえた、ちょっと危険な仕事の帰りだったのかも知れません。 


で、その運転手の方は私よりはるかに年上だったのですが、なぜか私に愚痴りはじめました。 



その愚痴というか、ショックを受けた内容がすこぶる面白いんですなあ。 



当時ある風俗関連のお仕事に、とある国の名前をつけたお風呂屋さんがありました。 
そのお風呂屋さんには、本当ならばスチームバスがあるはずですが、もちろんそんなものはなく、もっぱら特別な作業に専念するのが当たり前の場所です。 

40代の方には説明の必要もないでしょうが、若い方のために、フィルタにかからない範囲で説明しましたが、もうお分かりですよね。 


まあ、体の一部を洗っていただき、心のうさをはらすところですな。 



運転手さんの話に戻りましょう。 

彼は、ひどく落ち込んでいました。 

いや、いざと言うときに刀が使えなかったというわけではないんです。 


その時のお相手は、モデルさんみたいに美しかったらしいのですが、 



そのう、なんといいますか、 




ああ、顔と何かの違いに愕然としてしまったらしいのですなあ。 


まあ、ずいぶんナイーブな方だったのですね。 


そんな、当時私のオヤジくらいの男の愚痴を聞いては、 



いやあ、そんなもんですよ。  




なんて、分かったようなこと言っていましたなあ。 


実は、女の子の手ひとつ握ったことのない私だったのに、まあ、あきれたものです。 





しかし、今でもその運転手さんの、なんともやるせない涙が出てきそうな声は、よく覚えています。 


まあ、よほど何かを感じたんでしょうね。 
それにしても、自分の息子ぐらいの若造相手に話すとは……。

今考えても、おかしなことだなあと思っています。