
とは言いましても、酔っぱらってあられもない姿をさらけだしたとか、大失敗をやらかした、とかいうことではありません。
むしろ、逆かなあ。
私の人生で一目惚れとかいう経験は、多分一度か二度だけです。
その方を初めて見たのは、ちょうど今日で37年になりますかな。
日にちどころか、何時ごろどんな風に出会ったかさえ、昨日の夕御飯よりはっきり思い出せますから、私はB型に似合わず、かなり粘っこいところもあるんですなあ。
で、それから3年くらい後、すでに決まった相手がいたその子に、こんなことを言われました。
「言いたいことがあるなら、言って」
すかさず私はこたえました。
「飲まないとね」
と、
「飲まないと何かを言えない人は、
き ら い 」
当時の私たちは、酒を1升くらい飲んでからが本音……、という環境でした。
だから、私はその子にも、ある程度酒が入って、『冷静な気持ちで、素直に本音を……』と思っていました。
が、これは大きな間違いでしたね。
酒が入って『冗談だよ』とか『へえ、覚えていないなあ』『酔ってたから……』ではダメなんですよ。
私はそんなことを言うつもりはありませんでしたが、
普通に考えれば、
まあ、初めから逃げ道用意しておくようなものですからね。
あの言葉痛かったですなあ。
しかし、年をとるにしたがい、痛さがむず痒さとか、心地よさとかに変わってくるから、人間の記憶というのは不思議ですね。
その方は、ある意味、私を励ましてくれていたんでしょう。
恥ずかしがり屋の私の気持ちを知りながら、「ほら、頑張って言ってみて」みたいな、
とにかく、
大人でしたね。