カルボナーラとペペロンチーノ | いなくなってしまった大好きな夫へ

カルボナーラとペペロンチーノ

亡くなる数ヶ月前から料理を始めた夫。


大好きな料理研究家のユーチューバーがいて、初心者にも分かりやすくて初めてでも美味しい料理が作れると、毎日のように動画を見ては「次はこれを作る!」と意気込んでいた。



カップラーメンしか作ったことがなかった夫が作った料理は本当に美味しかった。



ポテトサラダやナポリタン、鶏の照り焼き、ハヤシライスもトマト缶から作っていた。
美味しいと褒めると更に頑張って作ってくれた。



私が職場に持って行くお弁当も作ってくれた。
いつも残り物と冷食ばかりだった私にとって、夫が作ってくれるお弁当はすごく美味しくて、ランチの時間を楽しみにしていた。



次にカルボナーラかペペロンチーノを作ってくれる約束をしていた。



病院で、意識のない夫に「カルボナーラとペペロンチーノまだ作ってもらってないよ!材料買ってあるからね!」と大きな声で言ったけど届いたかな…



いつもどんな時も、「約束したよね?」と私が言うと、「そうだな。約束だったもんな。よし!」って重い腰をあげてくれた。



夫は「ペペロンチーノだけは絶対に作る!俺、いま料理が一番楽しい!もっと作ってあげたい!」って言ってた。



約束を守るために戻ってきてくれるかなと思って、意識のない夫に、耳元で「カルボナーラとペペロンチーノの約束は?」と話しかけた。



多分、周りで見てた人達は、「え!こんな時にカルボナーラとペペロンチーノそんなに大事!?」とか思っていたはず…( ̄。 ̄ノ)ノ



私は夫が戻ってきてくれるなら、理由なんて何でも良かった。



パパ…
カルボナーラとペペロンチーノ、食べたかったな…



うちの近くに大きなスーパーができるよ。
今年の秋から営業だって。



パパ、料理するようになってから、大きなスーパー近くに欲しいって言ってたよね。



きっとパパだったら、「やったー!すげー嬉しい!ママ!早速行ってみよう!」って言うだろうな。



人も町もどんどん変わるのに、パパはずっとあの時のままなんだよね…
パパは適応能力が高くて時代の変化について行くタイプだったのにな…



悲しいのと淋しいのと、全部混じって言葉では言い表せない今までに体験したことのない気持ち。
パパの料理、もう一度食べたいな…
調味料もたくさん買ってきたよね…



レンゲがないとダメだ!うちにはレンゲがない!って。
3つ買ってきたよね。
結局パパは2、3回しか使ってないじゃん…



この前おかずを四種類に分けて盛るお皿を見つけたから買おうと思ったら、無意識のうちに3枚手に持っていた。
すぐに気づいて1枚戻した。
こういう日常の小さな事で気持ちが落ちてしまう…