先日、授業中に暇が出来たので周辺の子と喋っていると、何故か空談義になった。彼女たちは夏の空が好きなのだそうだ。冬の空が嫌いなのだそうだ。夏の空は広く、瑞々しく、入道雲が綺麗だと、冬の空はどこか冷たく突き放すようで、雲も重苦しいと。私は冬の空のそこがいいのに、と思った。高い。秋から冬にかけての空はとても高い。どこまでも高い。雲が重そうなのは水分を多く含んでいるからだそうだ。実際重いのだととある方が教えて下さった。私はあのだらだらと低いところを流れていく雲が好きだ。陰影を持つあの雲が。入道雲は遠くて大きいから、眺めていると、テレビで水族館のイルカショーを見ているような感覚に陥る。

私にとって少し楽しい空間だっただけに、彼女たちと好きなものを共感できなかったことも、自分の意見を言うことが出来なかったことも、大したことではなかったけれど、とても残念だった。まぁ私の意見は、特に挟む必要もなかったから構わないんだけど。女性の話題は川の水より断然流れが速いからね。取るに足らないことは特に。


先日バイト先に来た客の愛想がとても良くてビビった。いつまでたっても接客し慣れない私に笑顔で「ありがとう」とお礼を言ってくれる。料理を運べば「これはおいしそうだ」と褒めてくれる。笑顔と体形が猫やタヌキに似ていたものだから、私は彼を一瞬ドラえもんではないかと疑った(と母に言ったら母は意味がよく分からなかったらしくお茶を濁された)。彼のようなお客は珍しい。私を気持ちよく接客させてくれた分、彼に良いことがありますように。


初めて海外旅行に行ったとき、一番最初に驚いたのは、飛行機の中で見る空の青さだ。あれは海に通じるものがある。そして当たり前だが、海よりも深みがある。雲の白、境界線の限りなく白に近い水色、そこから濃紺へのグラデーション。私が乗っていたのは昼だったので、星を見ることは出来なかった。客室内の方がどう考えても明るいから、例え夜に乗ったとしても見れないかもしれないけれど。あの距離から星を見たらどうなるんだろう。距離としてはそう変わらないだろうから、光の強さとしては変わらないのかもしれない。でも見てみたい。空気は澄んでいるなんてものじゃないだろうから、綺麗なはずだ。イギリスで訪れた場所や空気、人の名前は忘れても、空の青さだけはくっきり印象と記憶に残っている。