その8

5年10年と経つと・・・

中学を終わり高校になり又社会人に、なっていく過程で、実は片目で困った事も何度かあった。

まず受験勉強を真剣に…とここでは言っておこう…やっていた高校の頃、とても目が疲れて困った。

2時間・3時間と本を読んでいるだけで、目が疲れて、しょうがなかった。

学校帰り眼科医により、注射をして目薬をさして、度が入っているのか、入っていないのか眼鏡をかけた事もあった。

今思えばそのすべてが、殆んど気休めだったような気がする。

注射はビタミン剤か何かか?

眼鏡は何になったか解からない。

掛けても掛けなくても、差がないし目の疲れは、それで取れたわけでは、なかったから。

医者の懐に少しの、お金が入った、だけかな。

ただ目薬だけはそれからも、数年薬局で買い欠かさずにさしていた。

 

それから5年10年と経つうち、目薬など、自然に忘れたのか?それで特に困ってない事を考えると、目薬も気休めだったのかな?

疲れた目に、ちょっと、いい気がしたもので、差していたのか?

 

大学を卒業して、東京医科大学の助手をしていた頃も、又苦労した事があった。

学生の生物学実験では、顕微鏡を使う事が多い。

教授が「顕微鏡は左眼で覗け、右目で自分の書いている紙を見てスケッチをするのだ。

両目で見ること、それは慣れると難しいものではない」と良く学生に講義していた。

私は学生の周りを、机間巡視しながら、顕微鏡を扱う事に、なれない学生の、手ほどきをしていた。

左眼で顕微鏡を覗く、これは問題なし。

しかし見えない右目で、鉛筆と紙を見るのは、どうするか。

「これが細胞の核だ、染色体も見えるだろう。

染色体が別れているのが解かるだろ」

そして右目で「ほらこうして書くのだよ、俺を見ろ、右目も左目も開いているだろ」とたまに左目で‘チラッ’と、ほとんど紙も鉛筆も見ずに書いて、ごまかしていた。

学生の誰もが左眼で見て、右目でスケッチしていたと思っていたことだろう。