その7

困ったこと キャッチボールとカラス

退院して家に戻ってから、困ったことと言えば、友達とキャッチボールをやっても、今までのようにボールが取れないことだった。

友達・・・「あれ、おい、おまえ、コウタロじゃないか。みんな、初めは、あいつ死ぬぞと言っていたぞ。元気になったか」

友達・・・「キャッチボールやろうぜ」

キャッチボール。やろう。やろう」

友達・・・「おーい。いくぞ。取れよ」

「いいよ。投げろよ」

いつものように取ろうとグローブは出すが、ボールはどこに行ったか見えない。

頭の、上を越えていったボールは、いつもは飛びあがってキャッチするが、それができない。

ボールは、どこを飛んでるか見えない。

・・・そのうち後ろで音がする。

それでボールが、すでに後ろに行ったことが分かる。

あ!知らないうちに後ろにボールが、行ったか。

友達・・・「おい、何やってるんだよ」

「ごめん・・・ごめん・・・」

時として、ボンと、お腹に当たったりして、そうなるとキャッチボールが怖い。

そんな事でキャッチボールすら、恐くて出来なかった。

 

それと鳥である。

自分の身長の10倍も20倍も高い空を、飛んでいるカラスが、突然自分の視野に入った途端「カラスがぶつかって来る」と思わずサッ!と避けて身をかわす、また頭を手で、かばったり・・・人から見れば随分と奇妙な事をする子だと思ったに違いない。

 

学校帰り、何人もの友達と歩いていて・・・

「ワァー」 大きな声を突然出して、体がしゃがむ。

友達・・・「スギ(私のあだ名)どうした?何があった」

「何でもない、何でもないよ」・・・

 

しかしそれも、慣れるのに、そんな時間が、かからなかった。

しばらくしてキャッチボールも難なくこなし、勿論高く飛んでいるカラスを、避けることもなくなった。

更に1か月?もしないうち、片目でも生活に支障をきたすことは、ほぼ無くなっていった。

ずっと後のことだが・・・例えば、車の運転なんて片目でも、何のことない、お手のもの、となっていった。