その4

  転院先の病院では

 

新しい転院先の病院では、検査、検査の毎日であった。

身体は全く痛くも無く、ただ左目をつぶれば、真っ黒で、何も見えない事と、一日数回目まいがすることを除けば、自覚症状はなく、元気で、子供ながら退屈な退屈な、毎日であった。

食事は流動食と制限され、運動も絶対安静で勝手にベッドを離れられない。

 

前の病院では何でも食べていたのに、また歩く事ぐらい許されていたのに…少し不満だった。

 

その頃は、ラジオを聞くのも、マンガを読むのもダメと医者に言われていた。

頭を打っているので、頭を使うのは良くないと医者は考えたのだろう。

 

長く入院していると、外はどうなっていたか、忘れてしまうような気がしてくる。

外に行って景色を見たいなあ。

 

隣のベッドの人が、納豆など食べているのを見て・・・うらやましい・・・「納豆食べたいな~」・・・

ベッドで一人静かに泣いていた。

僕はなんでも食べられるのに、制限されていた。

今思えば、食べ物の制限は必要ないのではなかったか。

 

歩ける幸せ

外を見られる幸せ

何でも食べられる幸せ

これらを何も考えずに、自然に出来ることは、すごく幸せな事、なのだと小学校6年の僕でも実感した。