串本に向けて戻りだすと、自転車を押して、進むことは、難しいことがすぐに解った。

後輪が引っ掛かって、うまく回らない。

乗ることも、降りて押すことも不可能・・・

既に真っ暗な世界に突入していた。

たまに通る車はあるが、なにも頼めず、ギブアップの心境・・・。

周りを良く見ると、道脇にテントを張れる場は、いくらもある。

しかしここで泊まって、明日になっても、その後どうするか?

夜が明けるだけで、明るくなっても、現状は何も変わらない。

まずは自転車を直さないと・・・先ほどの「おっさん自転車屋」まで歩いて、救助を求めに行くことにした。

「ばかやろう。あのクソ自転車屋」

「いい加減、過ぎないか」

「ツバメ糞タイヤなんて、つけやがって」

とは言ってみるが、さほど怒っているわけではない。

初対面の、いい印象が、あったからかな?

もう歩くだけしか無かった。

そこで自転車と荷物は、誰にも見つからないように、茂みの中にした。

隠したところは、少し藪が刈り取られており、その奥の茂みの中。

いちばんの問題は、明日取りに来た時、それ見つけられるかどうかだった。

暗い中、7~8kmも歩いてしまうと、明るくなっても、そこを探しあてるのは、宝探し・・・ところが目を付けたのは電信柱。

電信柱には1っ本1本に番号が付いている。

1188,1187,1186・・・何番になれば、街に入るか知らないが、この番号、1188さえ忘れなければ、宝物に着ける。

「電信柱1188番」の10m先の茂み、その左下、5m茂みの中を忘れない。