さてまた、夜中来るアベック達の話

 

駐車場からは坂を上って50mほど来ると曲がって、また30mほど上るとクルスの海叶岬に着く。

その中間ほど、つまり曲がった辺りの、木の陰の見えにくいところに、テントを張っている。

 

そこで駐車場から2人が歩いてくると・・・コツコツコツと靴音でアベックが来たなと分かる。

そのうち話し声が聞こえる。

更に上って、クルスの海・叶岬にいった帰りは、話し声と靴音は私のテント近くで最大、その後は小さくなり、2人は去っていく。

帰った、帰った・・・

そんなアベックは数組いた。

ところが・・・少し不思議なアベックに遭遇。

コツコツコツと歩いてくる、靴音はだんだん大きくなる・・・「来た、来た。また来たな」

そして2人の話声。

「クルスの海・叶岬に上がっていったな」

その後は決まって・・・帰りは話し声と靴音がして去っていく・・・・

それが普通だが、今回はそうではなかった。

 

寒いのでクルスの海にいるのは、みんな大体5分とか長くて10分・・・しかしいつまで待っても、このアベックは帰りの話し声と靴音はしない。

この夜中に、寒い中2人で何をしているのだろうか?

耳を澄ませていると、上に行ったまま、いつしか声が聞こえなくなり、靴音もしなくなった。

来た時の靴音と声は大きかったが、帰りの靴音も声もない。

とすると、まだ居るのか?

何をしている?寒いから何もしてないのか。

 

もしかして自殺?無理心中?

熱海の錦ヶ浦、福井の東尋坊にも負けないクルスの海は断崖絶壁。

とすると私は最後の目撃者・・・見ていないから目撃者ではない。

目撃者ではなければ何なのか。

まさか自殺や無理心中ではないと思うけど・・・でもやなところに。テントを張ったものだ。

 

寝れないでいて12時をかなり過ぎた頃、テントは突然、明かりに照らされた。

なにごとだ。何しに来た。一体誰だ?