ごろごろとし石がいつまでも続く。

道は右に左に、左に右にと、しつこく曲がっていく。

後ろから「左側は谷だからあまり寄らないで」と彼女の声がかかる。

私のすぐ前には彼がいる。

彼と言うのは、後に行く彼女の旦那さんだが、その人は大変優しい。

優しい彼が居たからこそ、私は登れたといっていい。

また気を遣ってくれる。

その気の遣いようは、言葉ではこんな感じ。

「この石は大きいから、踏んでも大丈夫」

「足はここに置いて」

「階段は、30センチぐらいの段差だ」

「あと1メーターで階段がある」

「石段があるけど、狭いから、気を付けて」

「ここは勾配がきついと」

「この倒木は、またいで」

「石が平だから、この石に乗って、そして左足をこっちに出して・・・」

 

道がどっちに行ってるか、分からなくなる事も多い。

でも彼の履いている靴が、黒いからよく目立ち、それが目印となった。

それでも、どちらに進んだか分らない時も多かった。

「どこ。どっちに行った?どこにいる?」

そういうと、ちょっと先へ行った彼は、すぐ戻ってくれて、足を返してくれる。

足を返すとは、足の底を見せてくれるので、どこにいるか解り易くなる。

それでやっと道の方向が、わかることも多かった。。

「右90度回って、上がって、2歩3歩歩いて、また右へ曲がって」・・・つまりUターンする感じの道だ。

・・・左へ曲がって、もうちょっと3メーター位歩いて、木が倒れているから、またいでと・・・

登っている時、ずっとずっと、このように気を遣ってくれた。

だから歩きにくい登山道でも、何とか歩けた。

ちょっと滑ったところもあったが、歩いて1時間半、やっと山頂まで到達した。