苦労して登った「一の越からは、槍ヶ岳など北アルプスの多くの山が展望できた。

見上げると立山山頂の雄山に向かって登っている人たちが、手を取るように見える。

行こうかなと思ったが、予定してなかったのでやめた。

「一の越山荘」に入りパンなどを食べ、その後、下山を開始した。

道は登る時また降る時も、どういう風に曲がっているかわからないことも多く、その都度、上り同様、登山客の足を目印に下って行った。

下っているときに後ろから来た男性と、言葉を交わした。

私・・・「立山山頂に登ってきましたか?」

Yさん・・・「いえ、いえ一の越山荘までですよ」

「え、なぜ」

「体重が増えて・・・歩くのがきつくて」

私・・・「どこからですか?」

Yさん・・・「石川県の白山市ですよ。車は立山駅の駐車場に置いてきました」

私・・・「そうですか。私、目が悪くて遅いから、お先に行って下さい」

Yさん・・・「いやいや、どうせ私は今日家に帰るだけですから、時間があるからご一緒しましょう」

私・・・「大丈夫、私1人で行けるから、どうぞお先に」と言ったもの、ご一緒と言われて別に悪い気はしない。

それならご一緒にと言うことに応える。

そしたら

ここに大きま石があるとか、溝があるとか、道はこちらですよと色々と声かけをしてくれた。

彼は69歳、私より6歳下だ。

彼は私が山を下っていく最中「後ろから人が来るからこちらによけて待ちましょう」といろいろ親切にしてくれた。

そんなことで彼と出会ってから、室堂バスターミナルまで1時間か2時間か?話ながら歩いた。

私1人で歩けるとしても、やはり先導者がいると大変助かる。

1番怖いのは出っ張った大きな石、もう一つはいくつもいくつも道に横に溝がついており、その溝は幅30センチ深さも30センチ位かな?勿論またぐ訳だが、その溝は結構わからない時がある。

溝は雨が降ったとき、道路が水浸しにならないよう水を右から左などに流すためだろう。

溝は光線の加減によっては、大変にわかりにくい。

昨日こんなところに1回だけ足を落としてしまった。

まぁ大した事なく良かったが、彼は数メートル先の溝を「溝ありますよ」とその都度丁寧に教えてくれた。

ありがたいことだ。

そんな彼の助けもあり、安全にバスターミナルに到着した。

ここから彼はバスで立山駅に戻る。

私はもう少しこの室堂平を回り、宿に帰ろうと考えていた。

彼は案内板を見ながら、こっちへ行くと近い安全などと色々と教えてくれた。

バスターミナルの屋上は、屋上と言っても山から下りてくると同じ平面で、バスに乗るには階下に降りることとなる。

ここで彼がスマホを出して言う「写真撮って良いですか」

「私が撮りましょうか」と言うと・・・「いえいえ杉山さんの写真を撮りたいんですよ」

私・・・「まぁ構わないけど、なんで」

Yさん・・・「いやこの山に来て、こんなに素晴らしい人に会ったんで、帰って子供たちに話したいですよ」

私・・・「何を言ってるのですか、素晴らしくもなんともないですよ」

「ただ暇だから山にきている程度の、ただ何となく生きてるだけで、そんな人間ですよ」と笑いながら答えた。

「それじゃあ一緒に撮りましょうか」と私のカメラと彼のスマホで2人の写真を傍にいる人に頼んで撮った。

彼と山から降りてくる時に話したことといえば、静岡から自転車で北海道の宗谷岬まで行ったこと。

こんなに目が悪くても今でも、家を建てたりテーブルを作ったりしていること。

今でも1時間半ぐらい近くの小室山に毎日のように走っていること。

山は目が悪くて今回位が精一杯だが、アルプスの山を展望する場所探しをしていきたいと思っていること。

そんなことを話したが、まぁ大した事はない。

彼はボーリングの会に入って、毎週のようにボーリングをやっているとのこと。

これはまた素晴らしいことだ。

そして体重が増えちゃったので、何とか体重を減らしたいと言う。

「毎日少しでも走ってみたら」と言って見た。

その後名刺交換(アドレス交換)をして彼と別れた。

この室堂平と言う天空の別天地、ここをゆっくり散策しながら山小屋に向かった。