夕立ち通り道


傘もささずに僕たちはなんで
どこまでも行けると思ってたの?
風が雲を運んでくればそれと
いっしょに降り出すのはまたあの思い出だったんだな

隅っこに転がしておいて
片付けないまま蹴っとばして
ひとり帰り道
夕立ち通り道
遠くの空が紅く染まったなら

ただ 君の声がして
また 振り向いてみても
ああ 雨音で途切れたまま
消えた

ずぶ濡れ重くなった靴をいっそ
脱ぎ捨てて行けたら良かったのに
いつもいつまでたっても繰り返すのは 言えなかった言葉と雨と笑顔だけ

涙はいつしか乾いて
この雨ももうすぐ止むんだけど
ふたり歩く道
あの日の帰り道
いつまでも忘れないと思ってたのにな

ただ 君の声がして
また 振り向いてみても
ああ 雨音で途切れたまま

ただ 君の声に似た
柔らかでしなやかな風と
ああ 夕立ちの雨の匂い
あと少しだけ
消えないでいてよ