昨日、アップリンク吉祥寺 にて、映画「愛のごとく」を見てきました。

 

 

 

官能文学で、R15+指定作品でもあるため、

女性の方には少し敷居高めの作品かもですが、

4度の芥川賞候補に選ばれた著者・山川方夫(やまかわまさお)氏の

繊細巧緻な作品を広く印象付けた、読み応えのある純文学

 

そして、この「愛のごとく」の単行本が刊行される直前の2月20日、

交通事故により34歳の若さで亡くなられ、没後、

本作が5度目の芥川賞候補作となる悲劇の作家の遺作でもあります。

 

 

「私はいつも自分にだけ関心をもって生きてきたのだ。」

 

……というハッとさせられる書き出しから始まるこの作品は、

既に著作権を失っており、パブリックドメイン(PD)作として

現在、青空文庫で読むことができます。

興味のある方は是非ご覧ください。

 

▼青空文庫「愛のごとく」

 

また彼の代表作など一緒に読まれたい方は作品集などもあるようです。

 

 

昔の作品ながらハイボールを飲みながら、モダンジャズのジャズセッションを楽しむくだりや

「ダイレクト・メール」という言葉が出てくるあたり、

なんか60年の時を思わせない作品で割と興味深いです。

 

そしてこの小説の映画製作を手掛けられたのは、

卍(2023年)、痴人の愛(2024年)を製作された井土紀州監督、

脚本は同・井土監督とタッグを組まれ、

卍(2023年)、痴人の愛(2024年)の脚本を手掛けられた小谷香織さん

 

実に小説を30回読みこなされた上で手掛けられた小谷氏による肉付けは、

「作品にまとわりつく、ともすれば暗鬱な空気感を

30回くらい洗濯機にかけて透明感を与えてみました」みたいな印象。

 

かなり女性が見やすい作品に仕上がっているようにも感じます。

 

 

全く予備知識なく見たので、もし原作を読まないままであれば、

夏目漱石「それから」的な原作なのかと思ってしまったほど。

家に帰って読んだら全く違いました。

危ない……実に危ない。

 

原作にはない、肉感的なイズミの情念や、甘めったらないハヤオの目線が

原作の解像度を高めて、温度感・色彩感がぐっと上がり、

時に非現実的とも感じる爽やかな透明感を与えているように感じます。

 

 

原作はもう少し卑屈さ・言い訳がましさが節々に感じられて

 

「えっと、これは自伝ですか?」

「作家さんが早逝なさったのは事故じゃない?」

 

みたいな複雑な感情を抱きました。

 

すみません、通説みたいなの知らないで憶測だけなのですが、

多分それは脚本家の小谷香織さんも同じ考えだからこそ、

ハヤオは作家であり、そのデビュー作が「冬の葬列」なのかなぁと。

 

 

 

お二人の睦みが美しく、心に残る作品でした。

 

この後、地方でも上映されるようなので、是非足を運ばれてみてください。

日により、舞台挨拶やサイン会なども盛り込まれるようです。