Photoshop カフェオレのハート 叱る大人
先日の子供の遠足の帰り道
電車に乗り込むと、貸し切り車両のはずなのに
男性が一人座っている
先生が静かに語りかける
「ここは私たちの学校が予約している席なので、どいてもらえませんか?」
しかし、男性はちらっとこちらに視線を投げると
また目をそらして、返事もしなければ席を立つ事もないのである。
背中を丸めて、リュックを抱きかかえ、目を伏せたままこちらを見ようともしない。
「動きたくないのですね」
教師が念を押し、生徒達には空いている座席につきなさいと指導した。
(カフェオレの泡)
男性を避けつつも、半ば取り囲むようにしか座れない子供達
様子を見ているようだったけれども
5分もしないうちに、子供達が笑い始めた。
男性客が発する独り言や奇声がおかしかったらしいのである。
私は怖い光景だと思いながら見ていた
明らかに挙動不審なこの乗客をそんな風に刺激して、
もし彼のカンに触れたら?
もし怒りに任せて暴れだしたら?
でも、子供達は男性客の一挙手一投足がおかしいので
彼を見てずっと笑い転げている。
彼の真似をする生徒までいる。
教師が何も注意しないで見ているので
私ももう少し様子を見る事にしてよいのか
先生をたてた方が良いのか
自分の意見を言うべきか
でもそれはスイスの常識外の行動だろうか
スイスの常識ってなんだっけ
(イラストレーターで書いたハートを貼付ける)
20分ぐらい立つと
男性客が立ち上がった。
自分の駅が近づいたらしい。
扉の方に向かう男性。
男性の後ろ姿を、子供達のくすくす笑う声がまとわりついて行く。
遠足帰りの、西日が当たる古くて暑い車両の中に
その女性の声が突然響いた
「やめなさい!」
(ハートをいろいろ加工する)
子供達がしんとなる。
叫んだのは、お買い物帰りらしい、
サンダルを履いた、ふくよかな中年の女性である。
彼女は叱り続ける
「彼がどんな人かも知らないで、笑うなんて、失礼でしょ。
病気かもしれないじゃないの。
クスリを飲んでいるかもしれないじゃないの。
世の中にはいろいろな人がいるの。
自分と違うからって、笑っちゃ駄目なの!」
いわゆる、おばさんって感じのこの女性
ぐるっと子供達を見回した。
教師と私には目をやらなかった。
そして、降りて行った。
(レンズフレアなどの微調節)
おばさんには
病気の家族がいるのかもしれない
世間の偏見で苦しんだ経験があるのかもしれない
おばさんが言いたかった事は
私が言おうかどうしようか迷っていた事で
それを言えたおばさんはやはり偉い。
教師と私を見なかったおばさんの心遣いも感じる
大人に恥をかかせないようにしたのだ。
自分が良いと信じた事を言う
やはり大事なスタンスだと思う。
おばさんが降りた後で、教師が生徒達に言う
「あの男の人は、コミュニケーションが取れない病気だと思うけど
どんな病気かなんて、私たちが最初から知る事は出来ないわ」
子供達は黙って聞いていた
子供達は大人のフィードバックを求めている感じだ
自分たちの先生が話す事を聞いて、
分かったような分からないような表情だ
心の中の動きは見えないけど
おばさんに叱られた事は、忘れないでもらいたいなと思う。私も。
ありがとうございます。フォトエッセイに戻ります!
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