ちょっと怖い話〜公立学校に保健室がない事と投薬について〜
ジュネーブの公立学校に子供達が通い始めて一年以上になります。
一つ不思議に思っていた事があります。
それは、学校に保健室がない事です。
保健の先生はいますし、部屋もありますが、それはその先生のオフィスです。
子供が熱を出した時に眠るベッドはなく
最初の応急処置をするための道具も揃っていません。
ですから
「今日ちょっと具合が悪くなったら保健室に行って、電話してもらってね」
なんて子供を送り出す事は出来ません。
今日一日もたないな、と思ったら欠席させます。
冬は寒くて、それでも30分以上は外で遊ばないと行けないので
鼻水を出していたら、欠席させます
空気も乾燥しているので、悪化が速いような気がします。
学校には教室の隅に寝られるようなスペースがありますが、それだけです。
また、転んで怪我をした時にも、担任の先生が消毒をしてくれるだけです。
先月骨折をした長女は、午後に転んで骨折をしましたが、
とうぜんシップなどは貼ってもらえず、4時過ぎまでずっと折れた左腕を右腕で支えて過ごしていました。
その腕の支え方をみて、「骨にいってる」と直感して急いで救急に連れて行った私ですが、
担任の先生は気付かなかったのか、私に電話をかけようと言う気持ちも起こらなかったようです。
子供の不意の熱や怪我
母親が働いていたら本当に大変です。
ですから働いている親にはベビーシッターや頼れる人がいます。
しかし、病気や怪我の非常時にはシッターや近所の人を頼る事が出来ますが
もし、
自分の子供がADHDで、机にじっと座っていられなかったら
どうなるのでしょうか。
不思議な事に、子供達の通う公立校には1人も「じっと座っていられない子供」がいないのです。
4才児から12才児まで
きちんと座って学習していて
奇声を発する子もいなければ
筆箱で机をたたく子供もいないし
歩き回る子供すらいません。
授業時間中教室の扉は開け放たれていますが
本当に静かです。
日本の公立学校を見て来た私には
ある意味、すごすぎる光景なのです。
スイスの子供って、みんなそんなにすごいの?
ところがそれは
かならずしもすごいというわけではないようで
教師曰く
「教師の仕事は教える事」
なので、
じっと座っていられない子供は、学校に来て勉強をする事が出来ません。
ですから親はなんとかしないと行けないのです。
じっとしていられない子だけでなく
フランス語が著しく遅れている子供
計算が大きく遅れている子供
も学校からの紹介により、
Service Médico Pédagogique
という専門機関を紹介されます。
ここは、親子で通院します。
4回のセッション後に専門家からの診断やアドバイスがあるそうです。
この機関に通う日は、学校を休んでも欠席扱いになりません。
学校に紹介されたとはいえ、
診断内容を学校に伏せたければ、親は公表する必要はありませんし、
学校とともに指導を行いたいのであれば、学校に協力をあおぐ事も出来ます。
ADHD疑いのお子さんも、この機関を紹介され、場合によっては別の専門医を薦められたり
ある薬を薦められるそうです。
その薬は、現在の日本では表向きADHDの子供への適応が認められていません。
1944年にスイスのチバ社(現在のノバルティス)により合成され
1954年にドイツで発売された
メチルフェニデート
という薬です。
リタリン
という呼び方の方がなじみがあるかもしれません。
日本では第1種向精神薬に指定されています。
現在ではアメリカやメキシコやアルゼンチンなどでも製造されています。
いろいろな国で販売されていますが、
8割以上はアメリカで消費されているそうです。
でもスイスでも消費されているようです。
この薬を飲むと、落ち着きが出て、一つの事に集中出来るそうなのですが、
常習性があり
大人になった時にやめられないと
そのままカフェインやコカインを始めるケースもあるそうで
日本では現在ADHDの子供への適応は基本的に薦めていないと思います。
リタリンの処方は、
私は個人的には反対ですが
でもそれで
子供が落ち着いて勉強ができず
学校に受け入れてもらえず
親が働けない
と言う立場になったら
どうしたら良いのだろうかと思います。
日本の学校の保健室はある意味
大人のスターバックス
家か学校か、だけで
学校に第三の場所が与えられない子供達
すべての子供が学校の生活に適応出来るのか。
学校や公共教育に限界はあるのだと思いますが
この問題はとても奥が深い、と思います。
ある人は、子供にリタリンを投与する事について
「自分の子供が、ADHDだったら、リタリンを投与するか?
私は絶対にしない。
リタリン投与を薦める人たちはこう言うのよ
「「親に責任があって障害を持つお子さんが生まれてくる訳ではない。だから、リタリンを使って子供を学校に通わせて、勉強させ、親も自分の人生を生きるべきだ」
とね。
だけど、追跡調査をされていないこのリタリンを使用しつづけて
副作用が出た時に社会は責任をとってくれるのか?
とってくれない。
だから障害児を社会が面倒を見る、という発想を私は信用しない」
親でいる事は本当に大変だと思いました。
スイスに来て私も
「なに?そんな薬があるの?」
って驚くような不思議な作用をおこす薬もあるので、
投薬には指示を鵜呑みにしないで本当に注意しなければと思います。