N e w  Y o r k B l o w -NYでもタコ焼きを焼く英国人へ- -452ページ目

母の愛


今朝9時過ぎに玄関のドアベルが鳴った。
こんな朝早くに誰だ?と思いつつ覗き窓から表を見ると、
見慣れた茶色い制服。
「ちょっと待って下さい」と言い乍らドアを開けた。
荷物の宅配だった。

届いたみかん箱半分位のダンボールの箱には、
イングランドの郵便ラベル。
そこには相方の母の字が見えた。
相方はまだベッドから出られずユルユルしていたので、
朝食を食べる時に言えばいいと思って起こさなかった。

週末に島流しから返ってくる相方には、
労わりの意味も込めてホットケーキを作るようにして居る。
普通にイメージするホットケーキの大きさよりも小さい、
10cm位子供用みたいな大きさの物を3-4枚作る。
焼く前にフルーツを混ぜたもの、
普通に焼いてその上にフルーツやチョコでデコレイションしたり、
(たまにホイップもあり!)
フツーにメイプゥスィラッ+バラァ(外人発音で)で食べる。

プーンと香ばしく甘い匂いがしてきた頃、
相方は身支度を整えてから寝室から降りて来た。
キッチンに入って来た時には、
ハムスターやフェレットが鼻をクンクンする真似をして、
ホットケーキが膨らむのを見て、
「すごーい!」と日本語で驚いて見せた。
久しぶりのホットケーキ。とても喜んでくれた。

そして小包に気付いた相方は、
「お母さんからだ」と箱を脇に抱えてガムテを剥がした。
ひっくり返した片面が焼けるまでの間に中身を覗き込んだ。
すると出るわ出るわの菓子三昧。
中身は相方の大好きなキャンディ類と、
私の大好きなお母さんの特製ショートブレッドだった。
他に手作りのミンスパイも40個近く入っていた。
勿論、他の大事な品物も入っていたけどね...。

ホットケーキが焼けたので取り敢えず、
朝食をさっさと済ませた。
イングランドからの小包は、
私達のとっておきの楽しみなので、
どうしても自然に急いで食べてしまう。

小包には両親夫々からの手紙が同梱されており、
相方は微笑みながら目を通した。
私はお菓子専用のカンをキッチンタオルで念の為拭いて、
カウチに凭れる相方の横に座り、ラップを缶の内側に敷き直して、
お母さんのショートブレッドを8切れに切り分け、
ミンスパイと2列にして一つの缶に並べた。

二つの菓子は、イギリスへ行った時に教わった菓子。
イメージとしては3時にはティータイムがあって、
みんなでお茶を飲むと思いがちだが、
近年ではほとんどが買い食いをして居るのが現状だ。
だがお母さん曰く物価高も手伝って毎日のお茶の時間に、
夫婦二人で食べる菓子は自分で作ると言っていた。

年金とリタイア後の仕事での生活を支えるには、
イギリスは物価が高すぎるから、こうして節制しているのだ。
そんな中でも、思い出したかのように菓子を送ってくれる。
とてもありがたいと思うと同時に、
母の愛は強いなぁとつくづく感じる。



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