N e w  Y o r k B l o w -NYでもタコ焼きを焼く英国人へ- -334ページ目

日本の未来像

crush

前述の記事を参照して頂ければ判るが、
NYから遠く離れた日本で、
「有ってはならない事故」が起こり、
再び意味も無く己の命を奪われる事となった。

事故から一週間。
周囲の人たちやブログにコメントを寄せて下さった方達のお陰で、
何とか沈み込んだ場所から浮かび上がって来る事が出来た。

たった一人の被害者を持つだけでも気が滅入り、
場合に因れば泣き喚くような事態に成る。
なのに関係する人を4人も亡くし、
未だに重症を負った元同僚は入院中。
余りのショックに、一気にどん底まで落ちていった。
辛かった。本当に辛かった。
 
亡くしてしまった命はもう帰って来ない。
だからそれについては何も要求しない。

だが未来に対しては別だ。
以前から問題視されていたのに放置されたままの日勤教育、
利益優先の過密スケジュール、
30秒毎の運行報告と1秒単位の遅延を許さない規則の厳格化、
民営化時に採った10年間もの長期新規採用見送りのせいの、
歪な従業員年齢構成比の為、乗務員育成期間を2-3年も短縮させる。
今までに日勤教育せいで自殺者を出す。
だが国交省も労基局も誰もが何も言わず、何も指導しなかった。

それはやりすぎだ、そこまで責められる理由は何も無い、
完全に人権を無視し、人道的では無いと言える行為を見て見ぬ振りをし、
それを今日現在まで許して来た為、JRは暴走を続けた。
それはこの事故の大きな要因でもある。
JRは従業員を組織力で動かしていたのではなく、
日頃から植えつけた脅威で動かしていただけである。
ただ脅威の為に従っただけだ。

促成栽培野菜のように運転士・車掌になった職員達。
しかし、彼等の殆どが乗務員希望でJRに入っている。
憧れの職業だったからこそ懸命に勉強し、厳しい訓練にも耐えた。
しかし彼らを待っていた現実は、
秒刻みの過密ダイヤを運行し、もし1秒でも遅れれば報告し、
その後に待ち受けているのは恐怖の日勤教育だった。

線引屋が引いたダイヤは、実務と懸け離れた過密ダイヤ。
原因は利用者数獲得の為の、私鉄との接続を熟考した為だ。
実際引かれた通りにダイヤを運行するとなると、
1区間5秒遅れただけでも取り戻すには普段以上の加速を要し、
運転士に余裕を与えず緊張度を増させ、危険指数を上昇させ、
最悪の結果として今回の様な事故の発生させる事になる。
実質福知山線は東西線との接続後に飛躍的な接続の良さを背景に、
乗客の取り込みに成功しているが、
オーバーランは多発しており、その為遅延も同時発生している。
事故直前の先月、国交省からの指導を受けていたのに今回の事故。
 
度重なる事故を起こしてもその度に真剣に取り組まず、
組織としての引責を取らなかったJR。
乗務員へのプレッシャーを強めただけで、
先月発表した経営計画の最優先事項は、収益アップ。
一方子供の頃からの彼等の憧れの仕事は、
現代社会の狭間で押し潰される直前の、
180度違った使命と厳しい業務命令の脅威に慄きながら、
働かねばならないものになっていたのである。
 
何度も責任を問われたにも拘らず果たすどころか、
昇格して地位を上げていった役員たち。
そして強いプレッシャーに負けまいと、
経験が浅くとも懸命に業務命令と社会の要求に応え様とし乍ら、
若い命を散らした23歳の運転士。
この格差を矢張り日本社会は許していくのだろうか。