N e w  Y o r k B l o w -NYでもタコ焼きを焼く英国人へ- -284ページ目

ジャパン・ツアー ~都をどり編~

比叡山を後にした私達は、
スルッとKANSAIを使い三条まで戻って来た。
三条に着いた時点で、
時間が開演ギリギリだったので、
最初から相方に公演を見せたいと思ったから、
三条から祇園歌舞練場迄タクシーに乗った。

祇園花見小路奥の歌舞練場は、
見た目にも女の園を思わせる外観で、
取材以外では初めて足を踏み入れる機会だ。

相方を切符売場へ走らせ、
その間に代金を支払い、済むとダッシュした。
相方は日本語で話そうと頑張っていたが、
売り子には未だ伝わってなかった...。(T_T)

私が言えば直ぐ買えるだろうが、
時間は無くとも相方の自信をつける為に、
小さい声で教え乍ら相方にお金を渡して、
相方に切符を引換えさせる事にした。
すると直ぐに通じて、売り子は切符とお茶券をくれた。
そう、私達にとって初めての「都をどり」だ。

切符を手にした私達は、
売り子に未だ時間が有ると聞いたが、
早足で館内に入り、トイレはいい?と互いに聞き、
会場に二人して案内係の後をついて入った。

案内された席は高い切符を買っただけ有り、
その日最後の2枚だったにも拘らず、
芸妓・舞妓が出てくる袖横の左3-4番目の席。
だけど舞台を見るには中央の方が良いので、
相方を右寄りの4番目の席に座らせた。

着席後10分程して開幕。
今年は牛若丸と弁慶を題材にした踊りで、
洋風に言うと「レビューとダンス」って感じで、
群舞と織り交ぜながら華麗に見せる技は、
西洋文化に無い華やかさだが芯の有る踊り。

手折った花の枝に似せた花飾りを持ち乍ら、
揃いの青地のべべに赤に金糸模様の帯を締め、
簪も春の花の髪飾りも全て同じの舞妓達が、
左右に10人づつ配され、
しっとりしゃんと長い振袖を撓やかに操り、
私達の左横の袖から足音もさせず、
するすると花道に躍り出た。

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花道に出た彼女達を見て相方は、
本当に驚いた時に見せる顔をしていた。
3m先に見える着物に身を包んだ舞妓達に、
文字通り釘付けだった。

最初は写真を撮ろうとキャメラを構えていたが、
数枚撮ると舞台を見る事に集中した。
相方は牛若丸と弁慶の話を知らないので、
横から小さい声で簡単に説明し乍ら、
相方が理解し易い様、手伝った。

見終わった相方は、感動の渦の中に居た。
相方はイギリス人らしく、会話の中で相手を褒めたり、
それを丁寧に会話に取り込む方法を心得ている。
決してそれは意図的な物でなく、
階級社会の中で生きるイギリス人が学ぶ、
常識のマナーの一種。

そんな心得を持つ相方が幕が下りた途端、
如何に感動したかを私に熱く語りだした。
湧き出る感情を早く私に伝えるべく、
相方の口から発せられる熱を持った言葉は、
終始日本にはこんなに美しく、完成された美が有り、
それを母国文化として持つ私が、
とても羨ましいと何度も何度も言った。

相方は母国のイギリス文化を誇りに思って居るが、
日本文化も負けず劣らずだと言った。
相方の中での日本の尊敬レヴェルが、
一気にアップしたようだった。

会場を出ると案内係に誘導されて、
開演前に行けなかったお茶を頂く為に、
2階へ上がって行った。

2階には腰掛とそれより少し背の高い台が、
開き気味のL字に3-4列並べて有り、
その先には1段高くなった舞台があって、
そこには茶道具一式が並んでいた。

舞台に最も近い最前列に着席して暫くすると、
係りが茶菓子の饅頭を配り、
それが終えると舞妓が舞台へ出でて、
直に一箭だけ点てた。

勿論相方は今迄何度か抹茶を飲んでいるが、
和装でお茶を点てるのを見るのは初めてなので、
またもや釘付け。
相方は彼女が点てたお茶を飲めると思っていたが、
残念ながら別の人の元へ運ばれ、
その一箭以外は、別に奥で点てられた物が配られた。

飲み方をまた教えて、一緒に飲んだ。
配られた茶菓子は結局二人共残したが、
その時配られた茶菓子を載せた皿は、
土産として持ち帰る様になっていて、
それを懐紙で綺麗に包んで持ち帰った。

宿に帰ると、相方は自分で撮った写真と、
私が撮り続けた写真を見て、
繰り返し今日は充実した一日だったと言った。
その言葉を聞いて開演までに会場に行って、
良かったと心底思った。