時代を超えて
先日モンローの遺品のオークション
を紹介したが、
今日はそれにちょっとだけ関係ある展覧会をご紹介。
今、メトロポリタン・ミュージアムで行われている展覧会の一つが、
泣く子も黙る、フランスが誇るトップ・デザイナー、
ココ・シャネル展。
彼女が生きた時代のデザイン全てを網羅した展示会だ。
1階の特別展示場で開催中の「CHANEL展」。
世界中から1年以上掛かって集めたシャネルのデザインした、
靴、服、アクセサリーなどのアイテム100点以上を、
シャネル・アーカイブ、世界中の各服飾研究団体や、
ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館服飾研究所から集めた。
今や伝説となった世界的なデザイナーの
ココ・シャネルことガブリエル・シャネル(1883-1971)は元々お針子で、
今から90年前(!!)に、シャネル第1号店をオープン。
自らも美貌と才能に溢れた彼女には、
当時周囲からのやっかみも多く商売の邪魔をされるのは、
日常茶飯事だったという。
右:セシル・ビートン撮影 1936年
★撮られる方も凄ければ、取る方もスゴイ組み合わせ!
シャネルは様々な事で、革新的なデザイナーであった。
それまでほぼ喪服にしか使われなかった「黒」を、
初めて平服の色として初めて取り入れたのは彼女。
黒のシフォンドレスや段々重ねにして少しドレイプをつけたドレスにした。
イヴニング・ドレス 左:1925年右:1927-28年他には当時男性下着にしか使われていなかったジャージ素材の生地で、
ドレスやワンピースを仕立てたりしたのも彼女。
ジャージ素材といっても体育の授業で着るジャージじゃなく、
いわゆるメリヤス編みのニットの生地。
今はニット生地のソフト・スーツは普通の服だが、
それを作った当時は周りの人間が仰天した。
シャネルは当時の服飾業界の常識を悉く打ち破り、
様々な機能的なアイデア満載でモダンな感覚を併せ持った、
革新的なデザインを現実の物とする為の視点を持っていた。
だからこそ今日も働く女性だけでなく、
多くの女性を虜にして止まないのだろう。
展示場には白いボードで仕切られた5メートル四方程度のブースに、
マネキンに服を着せてただ展示するだけでなく、
ミラー・ボールを使った照明でデコレイションしたりと工夫が。
シャネル自身が1920年代にデザインした作品の真横に、
現在の2代目デザイナーのデザインした作品が展示してあったりするが、
全く違和感を感じるどころか今でも見掛ける様なデザインで、
シャネルが当時から如何にモダン・デザインを追求していたかを、
証明されている感じた瞬間だ。
また「シャネル」と言えばコレ!の代表格、
ツィード・スーツも様々なデザインの物を紹介している。
クリーム地に黒のラインの利いたツイード・スーツは、
50年代以降のアメリカで働く女性からの熱烈な支持を受けた服。
今でもツィード・スーツのデザインのコピー商品がゴマンとあるのは、
そんなシャネルのデザインをこよなく愛する人と言えば、
ルミ子やピン子の「パチモン・元祖・シャネラー」ではなく、
本物の「シャネラー」のジャッキーことジャクリーン・ケネディは、
夫JFKが地方遊説についていく時はツィードのスーツ、
ホワイト・ハウスでの来賓を持成すパーティの席では、
胸元に黒を配したオープンショルダーのドレス、
外国訪問をした時の晩餐会では、
マントの様なドレイプのついたドレスを纏ったりと、
ポイント、ポイントを押さえるべき時には、
必ずといって良い程シャネルを着ていた。
過日紹介した JFKのオークション の中でも出てくる写真の中のジャッキーは、
何気にシャネルを纏っている。
あの世界初の衛星中継報道されたJFKが暗殺されたダラス遊説の時も、
ジャッキーはシャネルのツィード・スーツを着ていたのだ。
また、「眠る時に身に纏うのは、シャネルの5番だけ」と言って、
当時は未だそれほど有名ではなかったシャネルの香水の知名度を、
飛躍的に世界レベルに押し上げ、且つ売り上げにも貢献したのは、
先日紹介したマリリン・モンロー
。
現代で言えばTVでは売れたけど未だハリウッドには認めて貰えない女優、
サラ・ジェシカ・パーカーも主要パーティにはシャネルを纏い、
ハリウッド関係者へアピールするがその必死さが妙に卑しく、哀しい...。
でも私が街で見掛ける時はいつも、そんな高級な格好をして無い...。
吉川十和子以下の格好しか見たことないし。(やっぱり、養殖モンはダメ?)
当日、展覧会に来ていたのは女性だけかと思いきや、
大きいマーケットを抱えたニューヨークだけあって、
10代から70代と幅の有る多種多様な人が見に来ていた。
デザインの勉強をして居る子なのか、
10代の男の子は懸命にノートにメモを取っていた。
声を掛けると彼はファッション・デザインを勉強中の19歳の学生で、
ヴァージニア州から来たらしい。
彼は「90年前にこんなデザインをしてたなんて、すごい!」と、
素直な驚きを隠さなかった。
50近い女性は、23歳の娘さんと一緒に見に来ていた。
お母さんは今年大学4年になる娘さんに、
自分の大好きなデザイナーのシャネルのデザインを、
じっくりと見せてやりたかったから娘を誘って来たと言った。
仲の良い親子だと、話を聞いていて判った。
母は若い時に無理して買ったスーツが今でも気に入っていて、
「私が着る時は、いつも娘がくれって言って狙ってるわ」と、
母の服を娘が欲しがってる事を笑いながら答えてくれた。
78歳の素敵なグレイ・ヘアのご婦人は、杖をつき乍らの来場。
聞けば昔ご主人に結婚前に贈られたのは、シャネルのツィード・スーツ。
それから人生ここ一番の時には、シャネルでツィード・スーツを求めた。
「昔、主人に貰ったデザインとは全く感じないし、
昔着ていた古いスーツも保管していれば今でも普通に着れたのね。
あれから57年目の去年に逝った主人の葬儀には、
喪服じゃなくて黒いツィード・スーツを着て、主人を送ったのよ。」と、
彼女は黒い縁取りのした千鳥格子のシャネルのツィード・スーツを着ていた。
今回の展示会に当たりメットの学芸委員も再認識したのは、シャネルの凄さ。
どれもが今日でも強く支持されているデザインと素材の使用方法であり、
機能的で先見の明に満ちたデザインは、今尚世界中の多くの女性を魅了している。
90年も前にこんな事をしていたなんて、「スゴイ」の一言。
それが今でも通用するデザイン且つアイデアだという事が、
彼女のもっとすごい所だと言っていた。
時代を超えるデザインは、未来永劫不滅だという事を証明するような話。
着る者の個性や存在感を際立たせるシンプルさに加えて、
スカートの丈や計算されたデザインは機能美に溢れるアイデアで、
当時の未だ社会的地位もうんと低く、
そんな時代に男性の眼を意識した服作りではなく、
女性自身の強さや美しさを眼一杯引き出すデザインに拘ったのがシャネルだった。
それを裏付けるのが、年配のご婦人の話だ。
今のデザイナーはシャネルの弟子でもあった、
ドイツ人のカール・ラガーフェルドが1983年から、
そのシャネルの遺志を継いだデザインを今も世に送り出し、
世界中の女性達の身を包んでいる。
ファッション・ショウを見る訳でなく、服に興味の無い人でも、
一人の女性としてのシャネルの人生を堪能できる展示会なので、
Chanel And Her World
(JP版)
1000 Fifth Avenue at 82nd Street
212-535-7710(大代表)
開館時間:日-木 9:30-17:30
開館時間:日-木 9:30-17:30
金-土 9:30-21:00
入館は閉館15分前まで。月曜休館
シャネル特別展は8月7日まで。
シャネル特別展は8月7日まで。





