カムバック | N e w  Y o r k B l o w -NYでもタコ焼きを焼く英国人へ-

カムバック


彼女が帰って来た。
彼女がシャバに帰って来た。
ウェストヴァージニアの連邦女性刑務所から帰って来た。
でも、そう見えないのがムカつくところだ!( ̄‥ ̄)=3
(かっ、金持ちなんて嫌いだいッ!!)
って事で、今日の昼に行われたプレスOKのミーティングに行って来た。
当然の様に、この模様は「全米生中継」された。
(こんな事で、回線を使って欲しくないんだけど...)

『彼女』とは、そうカリスマ主婦と呼ばれる、マーサ・スチュアート。
インサイダー取引で起訴され、裁判で5ヶ月の実刑判決を下され、
明確なインサイダー取引が有った事実はどうやっても動かせないし、
彼女がその操作中に偽証をしたのは紛れも無い事実なので、
徹底抗戦はせず、早く服役して早く社会復帰したいというのが、
彼女の意向だった為に、昨年10月から先週末までの5ヶ月間、
彼女は服役していた。

勿論刑が確定した直後からマーサが創業した会社の株価はガクンと落ち込み、
それは服役中もずっと継続。
会社唯一のスターであるマーサ本人が引き起こした犯罪。
役員会は、一時真剣に会社譲渡を考えた程の大きな汚点だった。
なんせ、『企業イメージを保つのが一番大事なこと』と、
本人自らが言っていた事だったからだ。最悪この上ない事実。

問題は出所後の彼女の行動。
グレーの毛糸のポンチョにジーンズと言う若い格好で、
「自家用ジェット機」に搭乗して、NYの外れの自宅近くの飛行場へ。
その後マーサが帰ってくると聞きつけた『ファン』達が待つ自宅へ。
一旦中に引っ込んだがその後直ぐ外に出て来て、
出所祝いのプレゼントや花束を受け取ったりと『ファンとの交流』をしたり、
自宅で実母と料理を作ったり、自宅で飼っている馬にエサを遣ったり、
ダンナや犬と戯れる場面をビデオ録画して、
如何に『家族に愛されて、ファンとの交流を大切にするマーサか』を、
早速PRすべく各メディアに配布。

勿論、自宅取材の為に雪の積もるNYと言えど、ド田舎のマーサの自宅。
以前行った事あるけど、マンハッタンのイメージはゼロの、マジ、田舎。
寒空の中、現地取材をこなす取材クルーにも、
ホット・チョコレートを振舞い、ご機嫌取りも忘れない。
振舞われたスタッフによると『笑顔で渡されて、チョット怖かった』と、
あからさまなメディアを利用した戦術を垣間見せられた。
恐るべし、マーサ・スチュアート。
人を利用するのは、世界一!

『世界一汚れた金持ち主婦・マーサ』の出所に、
ヨゴレネタ大好きのメディアが飛びつかない訳無く、
各局そのビデオをO.A.。
勿論、一言付け加える事は忘れない。
これ等のビデオは地に落ちるどころか、
地球の裏側まで届く程崩れたマーサの『犯罪者』イメージを払拭すべく、
既にこのビデオでイメージ戦略をスタートさせていると軽くあしらう。

確かにそう。このインサイダー事件で、
ある種神格化されたマーサの実像は、見事木っ端微塵となった。
もはや接着剤で繋ぎ合わせられる程の大きさでは無く、
粉々になった彼女の地位と名声。
彼女の様に『普段の生活を少し上品に、おしゃれを取り入れよう』と提案し、
それが広く受容れられたのに、教祖・マーサ様は既に犯罪者。
彼女の様なイメージ先行の仕事をして居る人には、超逆境。
特に彼女の様に主婦層がターゲットのビジネスをして居る人にとっては、
金銭面でのクリーンさがより一層強く求められる。
女性は同性の見方に厳しさが有るのでそれが一層厳しくなるのは間違いない。

漸く出所しては来たが、当面の保護観察処分の条件付。
ベルトを通した薄さ2cm程、5cm角程度の黒い箱状の電子監視装置を、
犬の首輪みたいに肌身離さず付けて、無線で当局から監視され続ける。
勿論24時間監視体制ではあるが、
週に48時間も仕事・食料品の買出しに限定して外出を許可されて居る。
しかし、21時以降の外出は禁止なので、
パーティや、観劇等には列席できない様に配慮されている。

しかしあくまで保護観察期間中である事を考えて細かに制限されている辺り、
世論に配慮した有名人のマーサに対しての適当な規制だと思われるだろうが、
東京ドーム15個分位の自宅敷地面積を持つマーサ。
外出が全く出来なくても、死ぬような事はぜーんぜん無い。
だって、仕事したければ部下が「出向いて」来るだろうし、
冷蔵庫が空になれば、ダンナやオカンが買い物に「行ってくれる」。
なんたって「エライ」んだから、やりたい放題出来る状態。
裁判所もその辺をもっと考慮して、
自宅が「田舎版ディズニーランド状態」なので、
『自宅母屋からの外出禁止』とかにして欲しかったなー。
でないと、なーんの不自由も無いから...。
人間、不自由を感じるからこそ、罰になるのだという事を忘れてる!

って言うか、世間への影響力を考えれば懲役自体短い。
3年位の懲役は必要だったと思うのは、私だけではないようだ。
全米での反応は賛否両論あるが、
既に十分過ぎる資産を持っているにも拘らず、
インサイダー取引をしてまで更に資産を増やそうとした彼女は、
ただのインサイダー取引犯罪だとは思われていない。
『金に汚く、執着心を強く持つ女の犯罪』と受け取られている。
だからこそ証券会社職員からの華麗なる転職をはかり、
これだけ成功できたとも言えるが、犯罪はダメだ。
(実際はインサイダー取引は立件出来ず、偽証罪で立件された)

しかし『話題』好きのアホ・アメリカ人は、
そんな『犯罪者のマーサ』をまた表舞台に引っ張り出し、
ドナルド・トランプの番組の司会進行役として出演が決まっており、
その他を含めて2本のレギュラー番組への出演が、1本$10万で決定済み。
(You’re jailed!って言われないなってのが興味のポイント)
また服役中の体験談を記した獄中手記の出版で$1,000万、
そして販売がかなり落ち込んでいた商品ラインナップの強化の為の、
商品開発が既にスタートしており、保護観察下に有るとは言え、
不自由を感じる事無く存分に働く事が出来、
その上年収1億円は下らないと言われている。
加えて$90万の給与+$50万のボーナスを受け取る予定らしい。
(逮捕・判決が下った時の会社にマイナスイメージを与えた時に、
 会社が懲罰金を課したかを知りたい!
 それにどういう意味のボーナスなんだ!!)

もしマーサが犯罪者としてのイメージを、
メディアを利用して完全に払拭出来たとしたら、
彼女のイメージダウンの取り戻し方は、
今後のバイブルになるかもしれない。
63歳のおばあちゃんの、やり直し劇。
勿論、その手法は、『マーサのやり方』として販売されるかもしれない。
さてさて、お手並み拝見。

でも、年収1億円は、一回くらい貰ってみたい。
ダメなら、せめて『言う』だけでも...(空しい)