壊れたら用無しとばかりに捨てられた誰かの雨傘が、風にあおられ舞っている。
いつの間にか辿っている道は過酷で傷つくばかりだけど、後戻りもできずに日々は過ぎていく。
聞いてもらえない誰かの悲痛な思いは、行き処なく消えてゆく。
かつて夢を追いながら叶わず諦めざるを得なかった人は、(語り合いたくて、あるいは傷を舐め合いたくて)同じような誰かを探している。
「今晩はお嬢さん
ちょいとそこまでどうだい?」
(そんな言葉とともに“お前”は現れ、“僕”はこの恋に敗れた。)
ああもう、うるさいな。(本当はもう思い出したくもない。)
自分こそが正義の味方と言わんばかりの顔をして“お前”は“僕”に言う。
「もしも君と僕との この出会いが
違っていたなら きっと友達になれただろう」
(耳障りのいい言葉で慰めてるつもり?)
世間を騒がせず関わった人を傷つけないために、敗れた“僕”は誰にも何も主張せずに身を引くしかない…それを、辛いけど仕方のないことなんだと本気で思っているのなら、どうして“お前”はそんなに楽しそうなんだい?(勝者になって正義とやらを振りかざして敗者を叩きのめすのはそんなに気持ちいい?)
正義”を振りかざす人たちは、“正義”を貫きたいんじゃなくて、敗者を叩きのめして満足したいだけ。そんな下心が見えてしまうから、“正義”に敗れた者たちの涙雨くらい降るよな。
がむしゃらに努力を重ねても、敗れればそんな努力は何の価値もないと打ち捨てられる。
誰かが辛い思いを我慢することでほかの誰かが救われる…そんな都合のいい美談、ほんとにあるのかな。
「いかないでお嬢さん
話だけでも どうか!」
(恋に敗れたその瞬間が脳裏に蘇る。)
ああもう、うるさいな。(もう忘れたいのに。)
(“お前”は“僕”に情けをかけるように彼女に言った。)
「強がりなお嬢さん
(彼の想いの強さだけでも)認めてあげたらどうだい?」
ああもう、うるさいな。(“お前”のマウントのネタになんかされたくない。)
自分こそが正義の味方と言わんばかりの顔をして“お前”は“僕”に言う。
「君には君の 僕には僕の道がある
自分を信じて ただただ生きていけばいい」
(耳障りのいい人生論だね。)
“お前”の正義と“僕”の正義がどこまで行っても全く折り合いがつかなかったら(多分つかない)、“僕”の正義はどこにも行き場がない。敗れた側は何にもならない。
自分こそが正義の味方と言わんばかりの顔をして“お前”は“僕”に言う。
「もしも君と僕との この出会いが
違っていたなら きっと友達になれただろう」
(耳障りのいい言葉で慰めてるつもり?)
世間を騒がせず関わった人を傷つけないために、敗れた“僕”は誰にも何も主張せずに身を引くしかない…それを、辛いけど仕方のないことなんだと本気で思っているのなら、どうして“お前”はそんなに嬉しそうなんだい?(勝者になって正義とやらを振りかざして敗者を叩きのめすのはそんなに気持ちいい?)
“正義”を振りかざす人たちは、“正義”を貫きたいんじゃなくて、敗者を叩きのめして満足したいだけ。そんな下心が見えてしまうから、“正義”に敗れた者たちのの涙雨は降り止むはずがないよな。
“正義”を振りかざす“お前”も同じ人間なら、人としての気持ちがあるなら、敗れて世間から見捨てられた“僕”の気持ち…行きどころのない想いのやるせなさを思ってほしい。(そうして一緒に泣いてくれるなら、耳障りのいい言葉を並べてマウント混じりに慰められるよりはるかに救われる。)
“正義”を振りかざしても、下心ばかりが見えてしまうから、“正義”に敗れた者たちの涙雨くらい降るよな。