彼女は混んだ電車の車内で泣いていて
彼女が座っていたところから
斜め向かいあたりに吊り革につかまり立っていたわたしは、背中側からその声を耳にした
周りにもたくさん大人が居て
彼女の向かいにも大人は立っていて
だけど彼女は
誰か助けて
と言って泣いていた5、6歳くらいに見える
キレイな格好をしてた
わたしは気になって気になって
振り返っては様子を伺っていた
彼女は大人の男性と居るようにも見えた
その男性は眠っていた
ある駅でたくさん人が降りたから彼女の向かいが空いて
振り返ってまた見たけどまだ彼女は泣いていて
誰か助けて
って言ったから
わたしは彼女の前にしゃがんだ
とっさに出た言葉は
「だっこしようか?」だった。
わたしに気づいて彼女の隣に居た男性が
すいません、大丈夫です
と言った。
彼と彼女が礼服のようで彼女がなくから
わたしは男性に
「誰か亡くなったの?」ときいた。
結婚式だったんです
それを聞いて安心して彼女に
楽しかった?とか聞いた。
彼女の隣に座っていた人がさらに隣によけてくれて
わたしは彼女のとなりに座って
お嫁さん可愛かった?とか聞いたら
彼女は
お父さんがお酒して置いていかれる
と言った
理解して、降りる駅で起こしてあげるから
大丈夫だよってはなした
うつらうつらしてる男性は彼女のお父さん
酔っ払って眠ってしまうから
彼女は怖かったのだと理解して
お父さんが
はっとなるタイミングに降りる駅を聞いて
わたしが降りる駅より前だったから
おばさん教えてあげるから寝てていいよ
ってはなして
彼女はだんだん落ち着いて
お嫁さんかわいかったとか話してくれた。
駅が近くなったらお父さんは何回か
目を覚ましてすいませんとか言っていて
元気が出てきた彼女は
お酒するからいけないでしょ!って
お父さんを叱ってた。
降りる駅でふたりが降りていくのを見送って
バイバイ〜て手を振りあったあと
彼女はもう一度、乗り口まで走って戻ってきて
笑顔でこう言った
「助けてくれて、ありがとう〜〜!!!」
助けられたのはわたしのほうだよ
ありがとう
ありがとう
4年前の
今くらいの季節だったかな。
この経験はわたしにとって
いつまでもたからものです。