くだんの 医師の方に 


もし 今の状態でほっておいたら

どうなるんでしょうね?


なんて とてもとても ぶしつけな質問を

ぶつけてしまいました


その方は とても誠実な方なので

まっすぐ 私の質問に答えてくださいました

許可を得ましたので ご紹介したいと思います


********************

どうなるんでしょうかね。

確実にこうなるでしょう、
ということは誰にも言えないのがこの世の常


乳がんの自然経過を見る機会というのは

ときどきあります。

ひとつは、高齢であって、癌が発見されたとしても

手術や抗がん剤、放射線の治療をほどこすことが

必ずしも本人の利益にならない場合。

かなりの高齢者だと、副作用のほうがかえって危険

という場合もあります。

認知症ならまず治療しません。

もうひとつの自然経過を見るパターンは、

精神科病院でのケース。
とある50代女性の統合失調症の患者さん

精神症状が重く、20年以上入院していました。

ある日、腹痛と発熱があり、総合病院へ転院し、

虫垂炎と診断されました。
手術をしなければ、腹膜炎になり死亡する可能性があるため

手術をすすめましたが、理解力も低く本人は頑なに拒否。
本人が承諾しなければ、術前、術後の協力が得られず、

また、メスをたてるわけにもいかず、

保護者も本人がいやがるなら、と手術をしないことになりました。

結果としては、抗生物質の点滴のみでどうにか回復しました。
しかし、その時とった胸のレントゲンで乳がんが発見されました。
外科医から精査をすすめられましたが、またしても拒否。
強制的に検査をするわけにもいかず、結局、

そのまま精神科病院へ帰ってきました。

それから2年ほど経ちましたが、

本人はあいかわらずの生活を病院でおくっています。

何もしないでも2年は生存しています。
本人は何の心配も不安もありません。

そのことを気にもとめていません。

来月には亡くなっているかもしれませんが、

本人には、関係のないことなのです。

別のケースでは、30代女性。

産後授乳中に乳がんが発見され、

いろいろ手をつくしましたが、転移がすすみ

亡くなられました。

若い夫と、幼い子供たちがいました。

同じ病気でも、まるで違う経過です。

統計的、経験的には、多数の道筋が見えますが、

ご本人が通る道はそのうちの1本のみです。

明日どうなるかは、人間の能力でもわかりません。
まさか、自分がこの病気になるとは、

つい先日まで思いもよらなかったのと同様、

治療を受けた後の自分の考えやあり方についても、
思いもよらない状況であろうと想像します。
それが自分にとってどのような意味をもつかも、

その時の自分が判断するのであって、

今の自分ではありません。
そのときの自分も、また、

そのまま変わらずあり続けるということはありません

すべては変化しつづけるということだけは確かです。

主治医の先生がおっしゃられたことは、

その通りだと思います。
治療はやるだけやっておくほうがいいと思います。
その結果をどう受け止めるかは、

時間とともに変わり続けます。

いろいろな人がいますし、いろいろな経過があります。
でも、ほとんどの医療者は、とにかく一生懸命やって
くれると思います。

ぜひ、一生懸命させてあげてください。


**********************


この方のメッセージには いつも勇気づけられます

こういう方がいてくださることの幸運に感謝しています