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「学校で行き詰まっているのだから、原因は学校にあるはず」
「いじめや先生との相性を解決しなければ、学校には戻れない」
そう考えて、学校への働きかけばかりに目がいっていませんか?もちろん外部の環境調整も大切ですが、実はそれ以上に根本的な「エネルギーのガソリン」が切れてしまっていることが、不登校が長期化する大きな原因かもしれません。
今回は、心理学や脳科学の視点を交えながら、子供が再び前を向くために最も必要な「家庭の安全基地化」について解説します。
1. 不登校を紐解く「5つのパターン」と当事者のリアル
不登校のきっかけには、細かく分けると多種多様なものがありますが、大きく分けると以下の5つのパターンに集約されます。
以前動画に登場したJさんは、幼稚園から短大まで学校で孤立しがちだったといいます。のちに発達検査で「ADHD(注意欠如・多動症)」と「ASD(自閉スペクトラム症)」の特性があることが分かりました。特性ゆえに「相手の意図が分からない」「空気が読めずに相手が嫌がることを言ってしまう」といったすれ違いが起こり、先生との相性も悪く、学校内で強いストレスを抱えていたそうです。
このように、学校の人間関係や先生との相性、いじめなどが直接の引き金になるケースは非常に多いです。しかし、ここで一つの疑問が生まれます。
「学校のトラブルを解決しさえすれば、子供はまた学校に行けるようになるのでしょうか?」
2. 心理学と脳科学で見る「なぜ学校に行けなくなるのか」
物事を整理して考えるために、ここではマズローの5段階欲求(心理学)と、前頭前野と扁桃体のバランス(脳科学)という、2つの確かなエビデンスを柱にして考えてみましょう。
マズローの欲求5段階説と「安全の欲求」
マズローの心理学では、ピラミッドのように欲求が下から順に満たされる必要があるとされています。
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生理的欲求(生きていくための本能的欲求)
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安全の欲求(安心・安全な環境にいたい)
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社会的欲求(学校や会社などの集団に所属したい、居場所がほしい)
学校に行く、勉強をする、友達と関わるという行為は、3番目の「社会的欲求(居場所の欲求)」にあたります。 子供が学校に行けない、行く気力が湧かない(モチベーションが上がらない)というのは、その手前にある「安全の欲求」が満たされていないからです。
脳科学の視点:前頭前野 vs 扁桃体
脳の仕組みでいうと、おでこの奥にある「前頭前野(理性を司る、考える、コミュニケーションをとる、活力を生み出す)」と、目の奥にある「扁桃体(感情・恐怖・不快を司る)」が天秤にかかっています。
学校でいじめや先生との不和、学業不振などで強いストレスを受けると、子供の脳内では「扁桃体」が過剰に働き、感情が暴走します。一方で、エネルギーが切れた「前頭前野」は機能が低下し、論理的に考えて乗り越える気力(活力)がゼロになってしまいます。
結果として、「行きたくない」「無理」という感情的な判断しかできなくなってしまうのです。
3. ストレスをリセットする「家庭という安全基地」
社会(学校)に出て戦えば、誰だって多かれ少なかれ傷つき、ストレスを抱えます。 通常であれば、学校で嫌なことがあっても、家に帰ってきてそのストレスを解消(リセット)できれば、翌朝には「よし、また明日も頑張ってみよう」と前頭前野のエネルギーがチャージされます。
しかし、リセットされずに家でもさらに追い打ちをかけられるような状態が続くと、ストレスはオーバーフローし、ついに限界を迎えて動けなくなってしまいます。
ここで例え話を出してみましょう。 子供が不登校になった時、「学校の坂道が急だから車が走れないんだ(学校の環境が悪い)」「コーナーがきつすぎる(人間関係が悪い)」と外側の原因ばかりを議論しがちです。 しかし、本質的な原因は「そもそも車にガソリンが入っていないから走れない」ということなのです。
そして、そのガソリン(気力・体力)をフルチャージする場所こそが、家庭でなければなりません。
4. 盲点はお母さんのストレス!まずは親の「リフレッシュ」から
子供のエネルギーを奪わないために、最も重要でありながら見落とされがちなのが、「お母さん(お父さん)自身のストレス状態」です。
人間は、心身が疲弊していたり睡眠が不足したりすると、脳の理性が働かなくなり、攻撃的になってしまいます。特に不登校の家庭では、「夫が子育てに無関心で、お母さんが家事・育児・仕事を一人で抱え込んでいる」というケースが多々あります。
お母さんが不安や怒りで心の余裕をなくしていると、そのピリピリした空気が子供に伝染します。学校で傷ついて帰ってきた子供を、家でも無意識に命令口調で攻撃してしまうという悪循環が生まれるのです。
★Jさんのお母さんのケース
Jさんのお母さんは、家庭が大変な時期でも自分の趣味を隠さずに貫き、楽しんでいたそうです。趣味を通じてお母さん自身が上手にストレスをリセット(気分の運転切り替え)していたため、家に帰ってきたときには楽しそうなエネルギーが子供にも伝播していました。 親子で「損得勘定(成績が良いから可愛い、など)」ではない、純粋に楽しい会話ができる関係性があったからこそ、Jさんは過酷な環境を乗り越えることができました。
子供に「寄り添う」ためには、まず親の心に余裕がなければいけません。お母さんが自分の時間を持ち、リフレッシュして笑顔になることは、決して悪いことではなく、むしろ子供の安全基地を作るために不可欠なステップなのです。
5. まとめ:優先順位の第一位は「安心のプラスループ」を作ること
学校で問題が起きた時、「悪いのは学校だ!」と自分の正義を掲げてしまうと視野が狭くなり、根本的な解決から遠ざかってしまいます。誰も悪者にする必要はありません。ただ、解決のための「優先順位」を間違えないことが大切です。
まずは家庭内の環境を整え、子供が100%安心できる場所(安全基地)にすること。そのためには、親自身がストレスを抜き、リラックスすることから始めましょう。
「子供が安心できるためには、母親も安心でき、父親も安心できる環境が必要である」
このプラスのループを作ることができれば、子供の心には自然とガソリンが溜まり、本来持っている能力で次の問題(学校や社会)に対処していく活力が湧き上がってきます。まずは、今日からお母さん自身の心を緩める時間を作ってみませんか?
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