夕飯が終わり、俺が皿を洗っていると、バオップがボールから出てきて、耳元で言った。
「部屋で待ってるよ。」
俺はこの言葉が何を意味しているのかを知っていた。
そのままバオップが部屋に走って行ってしまうと、俺はまた手を動かし始めた。
部屋の前に立ち、ゆっくりドアを開ける。
そこには見慣れた自分の部屋があった。その部屋のベッドの上で、バオップが座っていた。
「やあ、来たね。」
俺はドアを閉めて、後ろ手でカギをかけた。
「遅くなって悪かったな、バオップ。」
「気にしないでよ。・・・それより、二人きりのときは、なんて呼ぶんだっけ?」
バオップは大きな目で、冷ややかな視線を俺に浴びせる。
「う・・・、も、申し訳ありません、ご主人様。」
「はあ・・・で?」
俺はいつものお決まりのセリフを言う。
「は、はい・・・ご主人様専用のメスポケモン、ポッドが参上しました。どうか、下のお世話をさせてください。」
俺はベッドの前に跪く。バオップはえらいえらい、と頭を撫でてくれた。
早くしないとまた怒られる。そう思って俺は、服と下着をすべて脱ぐと、床に投げ捨てた。
俺がご主人様にこういうことをするようになったのは、俺がご主人様をゲットしてすぐのことだった。
なかなかいうことを聞いてくれないご主人様に、どうすればいいのかと俺は尋ねた。
「バトルとかの時は、君の命令を聞いてあげる。だからそれ以外は、君が命令を聞くこと。」
それから、ご主人様にいろいろされるのと同時に、いろいろ教えてもらった。ポケモンの心理状況の分析などについても。
だから今の俺には、ご主人様はとても大切な存在なのだ。
「よく言えたね。お望みどおり、たくさん遊んであげる。」
「はい、よろしく、お願いします。」
END
世界には、ドラゴンポケモンが多く生息する島、双子のポケモンが高確率で生まれる島などがある。
そしてこのイッシュ地方は、ほかの地域にはいないポケモンがたくさん生息している島だ。
しかし、この地方には、ほかにも秘密がある。
それは、たまにポケモンと話ができる子供が生まれる、ということだ。
「ポッド様~、また明日も来ますわ~!」
「おお、待ってるぜ!」
俺は閉店時間に店を出ていく客の女に手を振った。
その日は挑戦者もいたから、俺が華麗に叩きのめしてやったのだ。
そのおかげで、今日は絶好調だ。
「ポッド。後片づけ終わったらすぐ夕飯にしますから、あなたは夕飯をお願いします。片付けは僕らがしますから。」
コーンが食器を回収しながら言った。
「わかった。今日はシチューだったよな?まかせとけ!いくぜ、バオップ!」
「バオ!」
俺はばおっぷと一緒に、厨房に走った。その途中・・・。
「今日は絶好調だったな、バオップ。」
俺はバオップに話しかける。
「まあ、今日はポッドの采配がよかったからね。いつもこうだといいんだけど。」
バオップは生意気に返した。
そう、俺達三つ子は、・・・ポケモンと話ができるのだ。
END