藍染×ギン

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闇は、人の心を一瞬で変えゆく。


藍染の心を闇へと染め上げたのは、嫉妬と言う市丸が他の人間と長く居続けた結果、知らぬ内に彼の心に造り出す原因となった。

重く深い、そして切なく苦しい。



藍染は市丸にそう告げると、相手の体を強く抱き締めた。


『…藍染、隊長?』


「愛しているよ…ギン…」


己の名前を呼んだ市丸の顔を見詰めれば、藍染は心の内に密かに思う。

「(私が君をどれだけ愛しているのか…君はまだ知らない)」


そう、市丸はまだ知らない…


藍染の市丸を想う愛の深さを。

自分が嫉妬する程、藍染は市丸ギンを愛している。









「(いいさ…今はこのままでも。私が勝手に君を私の抑えられぬ気持ちの歯止めにするから)」

闇に囚われぬ様にするには、それで十分だった。


藍染は口許に小さく笑みを浮かべると、そっと市丸の銀色の髪を撫でた。


『隊長、さっきから変や…』


「そうかい?」


『そうや…なんや一人で考え事してはるようで』


「考え事ではないよ…ただ、見入っているだけさ」


『見入ってる?何に?』


「決まっているじゃないか?君にだよ」


そう言うと、市丸は頬を染め俯き藍染の胸元に寄り添っては恥ずかしそうに小さく…


『おおきに…ボクも愛しとるよ、藍染さん』


と囁いた。





藍染の欲望は、留まる事はない。

市丸ギンを愛してからと言うものの、彼だけを欲し、彼だけを愛する。

それが毎日のように、藍染の欲を満たして行く。

今も、この先もずっと…。


いつかは、市丸も藍染が嫉妬している事に気付くだろう。




いや、我々は彼が知らないとそう思っているだけで、本当は気付いているのかもしれない。


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欲望の如く◆完◆


ここまで読んでくれてありがとう。

取り敢えず、私にはギンが私の傍に居てくれればそれだけで幸せだと思っているよ。


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藍染×ギン

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その日の夜。

藍染は私室で、一人遅く資料の整頓をしていた。

あの二人の姿を見てからと言うものの、胸が苦しくなり、藍染はその原因が“嫉妬”から来るものだと理解していた。


「さて、どうしてくれようか…」


嫉妬からの苦しさと苛立ちに、気持ちを抑え込むのも限界に近かった。



『藍染隊長、居ります?』


聞き覚えのある声に、藍染は声のした扉の方を見て


「市丸か…あぁ、居るよ。入って構わない」


藍染の言葉を聞けば、市丸は部屋の扉を開け中に入り、扉を閉め藍染に近付くなり彼に抱き着いた。


「…どうしたんだい?」


『藍染隊長に早ぅ逢いたかったんですわ…』


市丸は、藍染の抑え切れぬ気持ちも知らず相手にそう告げるが、藍染は市丸の言葉に顔をしかめた。


「逢えなくて寂しかったとでも?」


『寂しかった…表沙汰、仲良うない言う関係で隊長に近付けへんから、触れられへんし…』


彼等の関係は、他の隊長や隊員達から見て“仲が悪い”と印象付けている。

これは、藍染の考えの元で、市丸は共に演技をしていた。


「成る程。確かに表沙汰は、仲の悪い関係だと装っているから僕に近付く事は出来ず君に寂しい思いをさせているのだろうね」


『毎日隊長の傍に居りたいのに、それが出来へんから…辛い…』


「本当に辛いのかい?」


『辛いに決まっとる…愛する人と一緒に居れへんのやから。隊長は辛くあらへんの?』


そう聞かれると、藍染は口許にうっすらと不気味な笑み浮かべ


「辛いさ…辛くて、苦しい。君が僕の傍に居ない事がどんなに不安か…」



市丸と吉良の姿を思い出すと、目の前に居る市丸を見見詰めた藍染の心は既に、嫉妬と欲と言う闇に染まっていた。





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欲望の如く◆参◆に続く
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藍染×ギン

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市丸と藍染の関係は深いが、彼等がお互いを想い合い付き合いが始まった月日はまだ浅い。



任務を終え隊舎に戻る途中、藍染は市丸の姿を見掛けた。

彼の事だ、また任務をサボって遊んでいるのだろう…と、普段の市丸の事をよく知っている藍染は仕方のない子だと我が子を思う様に彼の元へと足を進めた。


向かう途中、市丸の元に駆け寄る人影が見えた。

それは、藍染もよく知っている教え子であり今は市丸ギンの元・三番隊副隊長を勤める“吉良イヅル”の姿だった。


「あぁ…また、彼に怒られているのだろう」そう思っいながら二人の様子を見ていた。



だが、次第に藍染の心の内には黒く渦巻く“嫉妬”と言う闇が生まれていた。




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短文ですまないが、続きで書くつもりでいる。