藍染×ギン
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闇は、人の心を一瞬で変えゆく。
藍染の心を闇へと染め上げたのは、嫉妬と言う市丸が他の人間と長く居続けた結果、知らぬ内に彼の心に造り出す原因となった。
重く深い、そして切なく苦しい。
藍染は市丸にそう告げると、相手の体を強く抱き締めた。
『…藍染、隊長?』
「愛しているよ…ギン…」
己の名前を呼んだ市丸の顔を見詰めれば、藍染は心の内に密かに思う。
「(私が君をどれだけ愛しているのか…君はまだ知らない)」
そう、市丸はまだ知らない…
藍染の市丸を想う愛の深さを。
自分が嫉妬する程、藍染は市丸ギンを愛している。
「(いいさ…今はこのままでも。私が勝手に君を私の抑えられぬ気持ちの歯止めにするから)」
闇に囚われぬ様にするには、それで十分だった。
藍染は口許に小さく笑みを浮かべると、そっと市丸の銀色の髪を撫でた。
『隊長、さっきから変や…』
「そうかい?」
『そうや…なんや一人で考え事してはるようで』
「考え事ではないよ…ただ、見入っているだけさ」
『見入ってる?何に?』
「決まっているじゃないか?君にだよ」
そう言うと、市丸は頬を染め俯き藍染の胸元に寄り添っては恥ずかしそうに小さく…
『おおきに…ボクも愛しとるよ、藍染さん』
と囁いた。
藍染の欲望は、留まる事はない。
市丸ギンを愛してからと言うものの、彼だけを欲し、彼だけを愛する。
それが毎日のように、藍染の欲を満たして行く。
今も、この先もずっと…。
いつかは、市丸も藍染が嫉妬している事に気付くだろう。
いや、我々は彼が知らないとそう思っているだけで、本当は気付いているのかもしれない。
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欲望の如く◆完◆
ここまで読んでくれてありがとう。
取り敢えず、私にはギンが私の傍に居てくれればそれだけで幸せだと思っているよ。

