藍染×ギン
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『愛してる…』
その言葉を君の口から聞く度、私の心臓は酷く痛む。
押し潰されそうな程、苦しくなる。
彼に気付かれない様にと平然を装い、いつも彼の銀色の髪に触れては柔らかく撫でていた。
指に絡ませてはそれを解かし、何度も何度も撫でる。
それはまるで、私が彼を愛おしく思っているかのように。
『藍染隊長?』
それでも…彼に名前を呼ばれる度、私の心は安堵する。
自分の名を呼ばれていると思うと、彼が私を愛しているのだと思えたからだ。
でも、彼には彼を一途なに愛している者が居た。
“吉良イヅル”と言う存在は、私にとって大きな敵。
力は私の方が遥か上に勝ると言うのに、彼を想う気持ちには大きく劣っている。
「(こんなにも君を愛しているのに…)」
彼の気持ちを自分に振り向かす事が出来ないのは何故?
市丸ギンの存在は、私にとって大きな“光”である。
例えて言うなら、夜空に浮かぶ光り輝く“月”だ。
私の孤独を照す優しい光りだった。
「君は私の光だよ」
『それ、大袈裟やで』
冗談なんかじゃない事は、彼にも分かっていたが、恥ずかしかったのか…彼は笑いながらそう答えた。
そんな幸せな君との日々も、君を愛する彼の存在と私の孤独と言う“鎖”が邪魔をする。
それでも私は、ギンの幸せを願ってやらなきゃならない。
「だから今は見守るよ。君が笑顔で居てくれる事を願って…」