国営新華社の報道で騒乱にも関わらずチベットへの投資が過去最高になったと報じました。


世界遺産ラサ・ポタラ宮

私にはこのことこそがチベットの人たちが危機感を感じている要因のひとつに思えます。

文化的に侵略され、中国化が進む、宗教も宗教施設も習俗も観光資源化されていくことへの民族のアイデンティティの危機感です。



一方チベットには地下資源が豊富に眠っています。それを中国人の手で開発するのが中国政府の開発の意図です。

青蔵鉄道建設による開発(西部大開発)と文化侵略、若者たちの中国化を目の当たりにしているチベット族。


青海チベット鉄道(青蔵鉄道)は2007年の開通を目指していましたが、一年前倒しの2006年に全通開通しました。


チベット侵略鉄道
著者: アブラム・ラストガーテン /戸田裕之
出版社: 集英社

【内容紹介】
2000 年、北京とチベットを結ぶ鉄道の建設計画が本格的に始動。ツンドラなどの厳しい自然環境のため、世界随一とされる中国の鉄道技術をもってしても実現は困難だった。しかし、過去50年以上に亘って、中国はチベットを同化させようと高圧的な姿勢を取り続けてきた。中国の武力介入はやむところを知らず、殺されたチベット人は100万人を超えた。そんな中国にとって、鉄道建設はチベット同化において最優先事項だった。高地・凍土・湿地という過酷極まりない環境に囲まれ、人力に頼らざるをえないなか作業が進む。死んだ中国人労働者がトンネルわきの丘に葬られたという証言もあった。そして2006年7月、ついにチベット鉄道が試運転を開始。その二ヶ月後、チベット自治区発足40周年を記念する式典が共産党官僚の立ち会いのもと行われた。すべては中国のプロパガンダとして進み、その日をもってチベットは完全に中国に同化させられたのだった。

【目次】(「BOOK」データベースより)

第1部 五十年の野望(時はきた/いつかは仏教徒に/より大きなステージ/迷える犬たち)/第2部 西へ(天と地を動かす/チベットに自由を/漢の支配/賭博師)/第3部 宝庫(ラサを目指しての競争/楽園再建/ワン一家が町へきたとき/胡にとっての西)





ラサ市街

非暴力対話路線のダライラマ14世の亡命政府への不満も高まっているのでしょう。

世界的な経済不況の中でエネルギー資源を巡る争いが焦点になりつつあります。エネルギー問題で覇権を握ろうとする動きです。

投資額を増やしているのは観光開発を隠れ蓑にしながら、チベットの地下に眠る石油、天然ガス、オイルシェールそしてウランを中国は手に入れたいのでしょう。

【関連記事】

青蔵鉄道 - Wikipedia

チベット騒乱の背後に地下資源問題:NBonline(日経ビジネス オンライン)

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