ー他に有る?
☆たいしたのじゃないけど、面白かったのは、サンジェルマンのパリ進出かな。
ー面白そうじゃん。
☆その前に、ちょっと写真のことで後悔している。
ー何?今更後悔することなんか、浅野くんには無いだろう。
☆まぁ、そうには違いないんだが、扉の写真のこと、ささやかな作品発表とか、言っちゃったけど、見た人がいろいろ言ってるだろうと思うとね。
ーなに?こんな写真で、風景写真家かとか?
☆それも有るけど、最近の写真、見ていたら、花とか木立、でなければ風景というより、 空と電線、或いは雲、建物、そんな感じなんだよな。
ー確かに、電線結構有るよね。意識的だったの?理由あり?
☆有るんだ。一つは、「ラーメンを食べる」という番組を見ていたら、アイドルの様なタレントさんで、電線愛好家と紹介されていた。
ーエ〜〜!?
☆びっくりしちゃうだろ、なぬぅ、日本最初の鉄塔小説を読んでいる僕には、素通りできない話だ。
ー電線愛好家もだけど、その鉄塔小説ってのも、ナニ??だね。
☆僕も、ブックオフで、たまたま見つけて、帯の文句に惹かれて、買っちゃったんだけど。
ーへぇ、大体、鉄塔小説っていうジャンルがあるのかだよね。それに鉄塔を主題に書くほどのことあるのかと思うよ。
☆僕も、そう思いながら、手に取り、買ってしまったんだから、運命だな。出会いだな。
ーそれどんな話だったの?
☆一言で言うと、ファンタジーだった。大分前のことなので、間違っていたらごめんなさいだが。鉄塔を辿って行って様々な人に出会う、最後に夢の様な光景が訪れるという様な。鉄塔って、実は、名前が有るんだ。
ーえっ、名前?
☆そう知って、僕の家の近くの送電線鉄塔を見に行った。そしたら、「保土ヶ谷○○線」と書いた札が下がっている。かなり近くまでいかないと見えないし、場所が人家の裏のような所で、その気にならないと、入っていけない。今は、もう一軒立ってしまって、入れないわけでは無いけど位になってしまった。その小説を読まなかったら、冗談にも近付くことはなかったと思う。