ヨウスが学舎に入ってからというもの、一番困ったのが顔だった。
人と認識できる容姿をしている、としか本人は思っていない。
鏡を見ても、「これが自分か」程度。
しかし、他人はそれだけでは済まないらしい。
小さいころは少女としか見てもらえず、青年となった今もよく間違われる。
さすがに声を聞けばわかるようで、五人中二人は見ただけで男と認識してもらえるようになった。
それは良い傾向だが、問題はその先にあった。
「おはようございます、クォーズ先輩!」
在籍年数でいえば先輩なのは相手のほうだが、初等生から見れば中等生のヨウスは先輩で。
いや、そんなことより……。
「今日はカルオネ国から取り寄せた干菓子です!」
そう言ってきれいに包装された包みを差し出される。
「……ありがとう。
気持ちだけもらっておく」
そう言ってヨウスは受け取らない。
隣りでは同室生のティセットが苦笑していた。
これで何度目だろうか。
贈り物を突き返されたというのに笑顔を崩さない初等生――確かポールという名前だ――は、わかっていてやっているのだ。
それでも懲りずに「運命です」やら「愛に壁などありません」などと言っては、こうして贈り物を持って来る。
しかも人目を気にせず堂々としているものだから、いつもこっそりとしか話しかけてこない男生徒らの目の敵になっていた。
また後込みをする女生徒や、出鼻を挫かれた女生徒の射殺すような視線が怖い。
そう、問題はこれだった。
ヨウスが同性だとわかっても言い寄って来る男が絶えないのだ。
とくにこのポールのような例は扱いが難しい。
情に絆されれば勘違いされ、あまり吊れなくするとむきになる。
微調整が大切だ。
贈り物の中身は見たことがないのだが、西区でも有名な店や外国から取り寄せた物など、幅広い。
もしかしたら裕福層の息子なのかもしれない。
ポール、としか名乗らないため、西区に実家があるルフェランも、どこの誰なのかわからないというし。
謎の青年ポール。
早く諦めてくれないだろうかと、ヨウスは切に願った。
人と認識できる容姿をしている、としか本人は思っていない。
鏡を見ても、「これが自分か」程度。
しかし、他人はそれだけでは済まないらしい。
小さいころは少女としか見てもらえず、青年となった今もよく間違われる。
さすがに声を聞けばわかるようで、五人中二人は見ただけで男と認識してもらえるようになった。
それは良い傾向だが、問題はその先にあった。
「おはようございます、クォーズ先輩!」
在籍年数でいえば先輩なのは相手のほうだが、初等生から見れば中等生のヨウスは先輩で。
いや、そんなことより……。
「今日はカルオネ国から取り寄せた干菓子です!」
そう言ってきれいに包装された包みを差し出される。
「……ありがとう。
気持ちだけもらっておく」
そう言ってヨウスは受け取らない。
隣りでは同室生のティセットが苦笑していた。
これで何度目だろうか。
贈り物を突き返されたというのに笑顔を崩さない初等生――確かポールという名前だ――は、わかっていてやっているのだ。
それでも懲りずに「運命です」やら「愛に壁などありません」などと言っては、こうして贈り物を持って来る。
しかも人目を気にせず堂々としているものだから、いつもこっそりとしか話しかけてこない男生徒らの目の敵になっていた。
また後込みをする女生徒や、出鼻を挫かれた女生徒の射殺すような視線が怖い。
そう、問題はこれだった。
ヨウスが同性だとわかっても言い寄って来る男が絶えないのだ。
とくにこのポールのような例は扱いが難しい。
情に絆されれば勘違いされ、あまり吊れなくするとむきになる。
微調整が大切だ。
贈り物の中身は見たことがないのだが、西区でも有名な店や外国から取り寄せた物など、幅広い。
もしかしたら裕福層の息子なのかもしれない。
ポール、としか名乗らないため、西区に実家があるルフェランも、どこの誰なのかわからないというし。
謎の青年ポール。
早く諦めてくれないだろうかと、ヨウスは切に願った。