その日、無事に手紙を書き終えたトルクは、精も根も尽き果てたという顔で、学舎を出て行った。
「外堀に落ちるなよ!」
ルフェランもややげっそりとしている。
トルクを見送って、二人は食堂に向かった。
帝国大使に手紙を提出に行ったトルクは、そのまま夕食に招かれてくるらしい。
「初めてだよね、ヨウスと二人だけなんて」
そういえばそうかもしれない。
「いっつもトルクがいたからなー」
「仲良いんだな」
「良いっていうか、トルクが一人でいられないだけだよ」
食堂は空いてくる時間帯だった。
席を立つ生徒が多く、座っている生徒も食器は空にして談笑している。
二人は適当なおかずとパンを取り、空いている席に座った。
「あれでもう十九だよ?
同じ歳のヨウスはこんなに落ち着いてるのに」
普段はぼんやりしているとか、内気だとか言われているが、本心はどっちだろうかとヨウスは思った。
「トルクは来年には帰るんだよな?」
「そうそう。
交換期間は三年だから。
ヨウス、ニンジン食べない?」
「食べない
交換生は皇都とだけ?」
「うん。
カザーカ国は遠いし、北は船の都合で行き来が難しいみたいだね」
ふーんと、頷きながらヨウスはわざとらしく自分のニンジンを食べる。
「こっちにも……」
「何?」
「……こっちにも、奨学金制度があればいいのにな、て」
「何それ?」
ヨウスは皇都で行われている、奨学金制度を話した。
「へー……。
それ、うちの父親に話してみようかな」
「え?」
「貸したものは返ってくる。
それに、そのおかげでティスが文官にでもなれば、自慢のひとつになると思うんだ」
どう? とルフェランが身を乗り出す。
「今度、姉貴が出産で帰って来るんだ。
父さんも機嫌が良いだろうし、良いかも」
「大丈夫かな?」
「やってみないと」
「ヨウスだって、ティスに戻ってきてもらいたいだろ?」
ルフェランは自分の額をちょいちょいと指してみせた。
確かに、額の傷はティセットという同室生がいてくれたらなかったものだ。
「ティスにはヨウスから話しといてよ」
「わかった」
上機嫌になったルフェランは食事を平らげた。
結局ニンジンは残したようだ。
「ラン、ニンジン食わなきゃ大きくならないぜ!」
いきなりルフェランの首に腕が巻きついた。
食事を終えたらしいラングだ。
「これ以上はいいよ」
ラングが隣りの空席に腰を下ろすと、なぜか他にも数人、集まってきた。
「モテモテだな、ヨウス」
「は?」
この状況で何のことだろうかと首を傾げるヨウス。
「クォーズ、頭大丈夫か?」
「頭じゃねーだろ」
「もう、かさぶただけだよ」
「スッゲー音したよな」
「跡残んなきゃいいけどな」
「すぐ消えるよ」
「あのー……」
そーっと手を上げたのは、ルフェランだった。
「僕、席外そうか?」
「!」
「いや待て!」
「クォーズが喋らなくなるだろ!?」
「とりあえず落ち着いて!」
「外堀に落ちるなよ!」
ルフェランもややげっそりとしている。
トルクを見送って、二人は食堂に向かった。
帝国大使に手紙を提出に行ったトルクは、そのまま夕食に招かれてくるらしい。
「初めてだよね、ヨウスと二人だけなんて」
そういえばそうかもしれない。
「いっつもトルクがいたからなー」
「仲良いんだな」
「良いっていうか、トルクが一人でいられないだけだよ」
食堂は空いてくる時間帯だった。
席を立つ生徒が多く、座っている生徒も食器は空にして談笑している。
二人は適当なおかずとパンを取り、空いている席に座った。
「あれでもう十九だよ?
同じ歳のヨウスはこんなに落ち着いてるのに」
普段はぼんやりしているとか、内気だとか言われているが、本心はどっちだろうかとヨウスは思った。
「トルクは来年には帰るんだよな?」
「そうそう。
交換期間は三年だから。
ヨウス、ニンジン食べない?」
「食べない
交換生は皇都とだけ?」
「うん。
カザーカ国は遠いし、北は船の都合で行き来が難しいみたいだね」
ふーんと、頷きながらヨウスはわざとらしく自分のニンジンを食べる。
「こっちにも……」
「何?」
「……こっちにも、奨学金制度があればいいのにな、て」
「何それ?」
ヨウスは皇都で行われている、奨学金制度を話した。
「へー……。
それ、うちの父親に話してみようかな」
「え?」
「貸したものは返ってくる。
それに、そのおかげでティスが文官にでもなれば、自慢のひとつになると思うんだ」
どう? とルフェランが身を乗り出す。
「今度、姉貴が出産で帰って来るんだ。
父さんも機嫌が良いだろうし、良いかも」
「大丈夫かな?」
「やってみないと」
「ヨウスだって、ティスに戻ってきてもらいたいだろ?」
ルフェランは自分の額をちょいちょいと指してみせた。
確かに、額の傷はティセットという同室生がいてくれたらなかったものだ。
「ティスにはヨウスから話しといてよ」
「わかった」
上機嫌になったルフェランは食事を平らげた。
結局ニンジンは残したようだ。
「ラン、ニンジン食わなきゃ大きくならないぜ!」
いきなりルフェランの首に腕が巻きついた。
食事を終えたらしいラングだ。
「これ以上はいいよ」
ラングが隣りの空席に腰を下ろすと、なぜか他にも数人、集まってきた。
「モテモテだな、ヨウス」
「は?」
この状況で何のことだろうかと首を傾げるヨウス。
「クォーズ、頭大丈夫か?」
「頭じゃねーだろ」
「もう、かさぶただけだよ」
「スッゲー音したよな」
「跡残んなきゃいいけどな」
「すぐ消えるよ」
「あのー……」
そーっと手を上げたのは、ルフェランだった。
「僕、席外そうか?」
「!」
「いや待て!」
「クォーズが喋らなくなるだろ!?」
「とりあえず落ち着いて!」