「え?
ト、トルクと……?」
語学中級の授業を受けるから、一緒だね。
と、言ったのはティセットだが、驚いたのはルフェランだった。
トルク本人ではない。
「そ、そうか、トルクとね……」
何事だろうかと、ヨウスが視線でティセットに尋ねてくる。
ティセットは肩を竦めた。
「唸るんだ、トルク。
授業が難しいらしくて」
交換生として来たばかりのトルクのために、ルフェランは何度か同じ授業に出たことがある。
すでに自分は受かった授業で、始終唸られた挙句、質問攻めに。
「どんなに優しく説明してもわかってくれないし」
最後には泣き出すし……。
外見からしてわかるが、トルクは武官志望だ。
正確にいうなら、皇都のジュリオラーザ公爵の親衛騎士になりたいらしい。
いや成る! と本人は鼻息荒い。
ティセットは算学の上級。
ルフェランは商学の中級。
二人とも順調に進んでいる。
トルクはというと……。
交換生に選ばれるくらいだから優秀だ。
しかし残念ながら、剣術は上級に合格したが、語学が中級を受けている段階なのだ。
この後に史学か文学の初級も取らなければならないのに……。
「騎士に文学がいるのか!?」
「いや……さぁ……?」
そんなことヨウスが知るはずもないのに尋ねている。
もちろんティセットも聞かれたことがあるし、知らない。
朝食を終えて教室に向かう途中、ヨウスが廊下で呼び止められた。
管理室の講師から名前が書かれた木札を渡された。
試験を受ける時に必要なもので、皆持っている。
「無くさないようにしてください。
身分証と思って、常に持ち歩くように」
ティセットは、真新しい学生証を覗き込む。
「クォーズっていうんだ」
「え? ……あぁ」
「ご両親は何してんの?」
「あぁ……いや、いないんだ。
これは母方の名前」
「あー……ごめん」
ヨウスは苦笑した。
名前のほかに、学位と寮室、後見人の名前が書かれている。
まっさらな裏面にはこれから、合格した学科と等級が書き込まれて行くだろう。
本館の二階に上がると、指差してヨウスに説明する。
「語学と算学は、こっちの廊下のところに中級と上級が集まってる。
上等生に気を付けろよ」
上等部は、貴族子弟と上級学科生しか入ることができない。
貴族なら誰でも上級生になれる。
対して上級学科生は、死ぬ気でがんばればティセットもなれるかもしれない。
だが、なれたとしても、西寮には行きたくない。
きっとトルクのように、窮屈な思いをするだろうから。
ト、トルクと……?」
語学中級の授業を受けるから、一緒だね。
と、言ったのはティセットだが、驚いたのはルフェランだった。
トルク本人ではない。
「そ、そうか、トルクとね……」
何事だろうかと、ヨウスが視線でティセットに尋ねてくる。
ティセットは肩を竦めた。
「唸るんだ、トルク。
授業が難しいらしくて」
交換生として来たばかりのトルクのために、ルフェランは何度か同じ授業に出たことがある。
すでに自分は受かった授業で、始終唸られた挙句、質問攻めに。
「どんなに優しく説明してもわかってくれないし」
最後には泣き出すし……。
外見からしてわかるが、トルクは武官志望だ。
正確にいうなら、皇都のジュリオラーザ公爵の親衛騎士になりたいらしい。
いや成る! と本人は鼻息荒い。
ティセットは算学の上級。
ルフェランは商学の中級。
二人とも順調に進んでいる。
トルクはというと……。
交換生に選ばれるくらいだから優秀だ。
しかし残念ながら、剣術は上級に合格したが、語学が中級を受けている段階なのだ。
この後に史学か文学の初級も取らなければならないのに……。
「騎士に文学がいるのか!?」
「いや……さぁ……?」
そんなことヨウスが知るはずもないのに尋ねている。
もちろんティセットも聞かれたことがあるし、知らない。
朝食を終えて教室に向かう途中、ヨウスが廊下で呼び止められた。
管理室の講師から名前が書かれた木札を渡された。
試験を受ける時に必要なもので、皆持っている。
「無くさないようにしてください。
身分証と思って、常に持ち歩くように」
ティセットは、真新しい学生証を覗き込む。
「クォーズっていうんだ」
「え? ……あぁ」
「ご両親は何してんの?」
「あぁ……いや、いないんだ。
これは母方の名前」
「あー……ごめん」
ヨウスは苦笑した。
名前のほかに、学位と寮室、後見人の名前が書かれている。
まっさらな裏面にはこれから、合格した学科と等級が書き込まれて行くだろう。
本館の二階に上がると、指差してヨウスに説明する。
「語学と算学は、こっちの廊下のところに中級と上級が集まってる。
上等生に気を付けろよ」
上等部は、貴族子弟と上級学科生しか入ることができない。
貴族なら誰でも上級生になれる。
対して上級学科生は、死ぬ気でがんばればティセットもなれるかもしれない。
だが、なれたとしても、西寮には行きたくない。
きっとトルクのように、窮屈な思いをするだろうから。