はぁ、などと。

 別れのあいさつとは思えないほど無気力なものだった。

 だが思うに、今生の別れであったなら惜しんだだろうが、それからもちょくちょく騎士の部屋に入り込んでくるとわかっていれば、妥当なあいさつだったと思う。
 この頃では、窓から入ってこられては男色の夜這いと見間違われないかと心配するばかりだ。

「さて。仕事の邪魔にならないうちに戻るかな」
「わたしももう寝ますよ」
「添い寝が必要か?」
「間に合っています」

 言葉の掛け合いは戦時中と変わらない。
 お互いがそれを楽しんでいることも。

「じゃぁな」
 何度も聞いた別れのあいさつ。

「はぁ」
 この先どれだけ交わすかわからない応えを、またひとつ、口にした。