「見てください、ハッサム殿。
 閣下と薔薇と干物爺が、楽しそうに描かれていますよ」

 白い法衣の人の笑みに邪気は一切ない。
 悪意を持ったことなど一度もないと言ってもおかしくないほどキレイな顔立ちをしている。

だが……。

「…………。フィー殿」
「はい、何でしょう?」
「あいかわらず、仲が悪いですな」

 白い法衣の人は大きな目をまん丸にして「まさか」と否定した。
「ドナナ殿と僕は院時代からのお友だちです。
 仲が悪いなんてこと、ありませんよ」
「……………………」
 爺などと言った口がいうことではなかった。

 黒衣の魔導士は知っている。
 二人の仲が最悪に悪かったことを。
 当時の大魔導師の側近衆が全員集まって仲を取り持とうとしたくらいに悪かった。



 黒衣の魔導士は静かに溜め息をついた。
 今さらこの人に何を言っても無駄だと、思い出した。

 黒衣の魔導士の暗鬱な気分など気づかない振りで、白い法衣の人は笑って言った。
「ドナナ殿、あなたのお弟子さんは心配性ですねぇ」
「……………………」



 あぁ、師よ。
 あなたのご友人はいつまでお元気なのでしょうか……?



 黒衣の魔導士は絵の隅に描かれた師匠の姿に向かってぼやいた。