妖怪のカワダさんは雨の日が嫌いだ。
「だって髪がバクハツするのよ? 信じられない」

 マルタはどちらかというと、妖怪のカワダさんの髪が天候に左右されるほうが信じられない。
 だって妖怪なんだから、台風の日にスキップしながら海水浴とか平気で行けそうだ。



 ほら見て、と妖怪のカワダさんが毛先をつまんで見せる。
「…………」
 マルタはびっくりして声も出なかった。



 妖怪のカワダさんの髪の先は、
 導火線になっていた。



「雨が降るとね、毛先が湿って火花が起こるの」
 そして火花は毛先改め導火線に引火するらしい。

 湿って引火する毛先なんて初めて見た。
 それ以前に、妖怪の髪の毛を至近距離で見るのは初めてだ。
 妖怪の髪の毛なんだから、一本につき七人の神様がしがみついててもいいのに、生憎しがみついてるのは神様じゃなくて紙製の一反木綿だった。初めましてこんにちは。



 妖怪のカワダさんはすごい妖怪なんだと、マルタは感心した。
 感心はしたけど引火されては困るので、てるてる坊主を作ることにした。



 あぁ。
 世界には危険が待ち構えている。