電車待ちの列に並んでいた。

 大きな荷物を抱えたオジサンがとことこと歩いてきて、ちょんと立ち止まった。


 わたしの前には人一人なら通る隙間があった。
 オジサンの横幅は大きな荷物のために2倍になっている。


 わたしの後ろにはフェンスがあるだけ。
 わたしは一歩下がった。





 ささっ



 ぺこり





 なんとオジサンは半歩下がり、礼をした。


 その角度は45度ではない。
 けれど会釈ほど浅くもない。


 30度。

 微妙なことを言えば32度。


 しかも一旦、下がってからのこと。
 一歩は仰々しく感じられたが、オジサンは絶妙に半歩だった。





 紳士だ。

 紳士がおる。


 ホレても良かですかオジサン。