友人は完璧に近い現実主義者だ。

 でも社会科は苦手だし、絵筆を取らせたらミ〇フィーちゃんが虎になって空を飛ぶ。
 それでも本人はミッフ〇ーちゃんだと言い張るあたりは現実的な人間かもしれない。

 問題は、1.5頭身の二足歩行型白兎ではない。
 耳無し猫型ロボットでもない。

 ちなみに若宮津はスヌ〇ピーが好きだ。


 ではなく。


「落ち着けミヤ」
 終始落ち着き過ぎるきらいのある遠野がみかねて声をかけた。

「あの神崎に、いきなり信じろっていうのはムリだ」
「だからおまえが先攻したんじゃないか」
 成果はなかったが。



 物静か過ぎる遠野は、目の前にいる人間の思考を読むことができる。
 ちなみにお父さんは犬のみ、お母さんは鳥のみ、お祖父さんは魚のみ、お兄さんは男のみだそうだ。

 不思議な家族だ。
 特にお兄さんが憐れだ。



「遠野おまえ、イヤだったことだけ話したんだろ?」
「うん」
 軽々しくうなずくな!
「まずは好印象!
 第一印象が大事なんだぞ遠野!
 神崎は児童相談所じゃないしおまえは児童じゃないんだ!」

「良かったこと?」
「そう」
「役に立ったこと?」
「そうだ!」
「便利に思ったこと?」
「そうだいいぞ遠野!」

「ない」

「ないんかい!!」
「ない……けど」
「けど?」

 遠野は深い深い溜め息をついた。
 察するに良いことではなさそうだ。

「あれは俺たちがまだ、中二のときだった」
 話が長くなりそうなので端折ろう。

 裏庭に呼び出された遠野は目の前に立つ女子がもぞもぞとしているうちに「あ、コクられる」と例の能力で知り、それとなく話を持ち出してキッパリとお断りした。
 たまには役に立つなと思ったが、一体どこから聞きつけてきたのか神崎が突進して来た。

 神崎は遠野が、自分が誰を好きなのか知っていることを知っていた。
 だから彼女をフったんだろうこの鬼め!となぜか責め立てられ、三日も口を聞かなかった。


「好きでもないから断わったんだ。
 神崎は関係ない」
 余計に悲しい結末だ。
「ていうか羨ましい」
「は?」

 遠野にはきっと、彼女いない歴16年の男の気持ちなんてわからないだろう。


 ちょっぴり切ない昼下がりだった。