夜の公園で、白いモノを見つけた。

 何だろうかと拾ってみる。
 意外と重い。



 玉子だ。



 へのへのもへじが書かれているが、どう見たって玉子だ。


 もったいない。
 落書きくらいならまだ食べられるから許せるが、捨てるなんて。



 もったいない。
 もったいない。


 でも食べることなんてできない。
 キュート過ぎる。





 翌朝。
 ぴきぴき、という奇妙な音で目覚める。

 なんと、招き猫が乗っていた座布団に鎮座させていた昨夜の玉子が!
 玉子にヒビが!


 ぴきぴき

 ぱりん

 にょき

 ぺきぺきぺき

 ひょっこり



 玉子から真っ黒な蝉が生まれた。

 蝉?
 タマゴからセミ!?

 社会的常識から外れているだろ!?



「あぁ良かった。
 無事に生まれることができて。

 わたしを助けてくださったのはあな」

「だめだだめだだめだよだめえぇ!」

「は?」
「セミっていうのはしゃべっちゃだめなんだよ!
 そのまえに、ニワトリの玉子から生まれちゃだめえぇ!!」

「え。
 で、でもあの…」

「だめったらだめなんだ!
 お母さぁん!」

「あのー」
「ファンタジーはだめぇ!!」



 こうして、鶏の玉子から生まれた蝉と暮らすことになった。



 経過?
 聞かないでくれ。

 悲しくなるから。