「ヨウちゃん。
 いい女にはね、あきらめも大事なの」


 なんだそれは小学生。
 と思ったのは陽太郎だけではないはずた。
 残念なことに聞いていたのは陽太郎だけだが。


 姪はプリンのフタから目を逸らし、小さな指で摘もうとしている。
 掴んだのはスプーンだった。



 姪は恐る恐るプリンのフタに視線を戻す。
 フタの内側にこびりついたプリンの残りが切ない。

 あぁ。
 あれを舐めとることができたなら、あるいはスプーンでかき寄せて吸い尽くすことがとき、初めてプリンを堪能したことになるのに!


 いい女とは、これほどまでに切ないことなのか!

 あぁ!
 プリンよ!

 おまえを舐め尽くしたい!!




「って感じじゃない?」

 風呂上がりのホコホコした体を陽太郎の背中に押しつけながら、姉は賛同を求めた。

 腐っても親。
 娘が難しい顔でプリンのフタを睨み付けていることを推測したようだ。

 しかし、とりあえず胸を退けてほしい。

 D80は重いから。