夢のなかでそれは起こる。
 夢からでないとそれは始まらない。



 てらてらと黒光りする廊下が視界を滑って行く。
 上から下へ。



 視界の隅にときおり、白いものがチラつく。
 白いものは小さな音をたてる。

 と。へた。きぃ。

 と。き。


 視界が暗転する。

 暗闇で何かが這いずり回る。

 耳を塞ごうとしても手の自由がきかない。
 指先にヒンヤリとしたものを感じる。
 腕が疲れを帯びてくる。

 かち

 指先に押圧感。
 目の前に光が飛び込む。

 ちゃり

 一層冷たいものが指に触れる。

 考えもせず冷たいものを掴む。
 回す。

 かちゃり

 ……。

 …………。

 ………………。

 ……………………便器?



 そこで目が覚め、ボクはまたやってしまったのだと知る。

 しかたなく怒られる覚悟をしたボクは、今夜の世界地図をまず一人で堪能した。


 あぁ。
 なんて見事なおねしょだろう。