隠れる必要はないと思った。
 隠れてみようと思った。

 浜辺を一望する崖を背に、大きな岩陰から人らしい生き物の動きを視線だけで追う。
 服を着ている。当たり前だ。
 だがこの暑い夜に、まるで祭りの衣装のような白い着物に似た服を着ている。さらに頭にも白いものをかぶっている。誰なのか、近づいて覗き込まなければわからない。

 ゆら、と光。
 炎。
 いくつもの篝火。
 取り囲みながらふらリふらりと歩く白い人々。光は揺れつつ点滅する。

 星の瞬きよりも陰気な光と、怪しげな集団。
 蒸し暑い真夜中の海辺でその姿は嫌が負うもなく異界を作り出している。