彼を騎士に選んだとき、ほぼ全員が反対し疑った。流浪の剣士を栄ある騎士にするなど前代未聞、名誉栄華称賛褒美が目的だと口々に言われた。
アルフレッダは彼らの声は無視した。血が怖くて、痛い思いをするのが嫌で部屋に閉じこもっている大人たちの言葉など、藁で編んだ帽子のように軽く吹き飛ばされて役に立たない。戦場には、頑丈な兜がいる。
庇ったのは幼き王。
賭けたのは国の命運。
巨大な責を負う少年王は、純粋な愛国心と大切な約束のため、意志と力しか持たない男を騎士に認めた。名誉も富も約束されずただ互いの誠実さだけが報奨だった。
敵国から生還した弟は見違えるように大人びていたが、それに気づいたものは少なかった。恐ろしいからと乗れなかった馬も、怖いからと持てなかった剣も弟は手にした。アルフレッダの背中に隠れることもしなかった。
また弟は、自分の力が国を支えられるほど熟達していないことを知っていた。王冠をかぶった子どもが叫んでも人は動かないことを知っていた。
戦場の彼を、人はどんな気持ちで見たのか。
返り血に染まる戦場の死神。
勝利を報せる疾風───いつからか『風見鶏の騎士』とふたつ名が付いた。
ふたつ名をあざ笑うものもいた。『木板の鳥の騎士』と言われても彼は気にしなかった。
ただまっすぐに、戦場の敵を見ていただろう。
忠誠は姫に。
王には勝利を。
彼が得たのは称賛の嵐、憧憬の眼差し、信頼の心。
断ったのは地位と報奨。
今も変わらずアルフレッダの騎士。
アルフレッダは彼らの声は無視した。血が怖くて、痛い思いをするのが嫌で部屋に閉じこもっている大人たちの言葉など、藁で編んだ帽子のように軽く吹き飛ばされて役に立たない。戦場には、頑丈な兜がいる。
庇ったのは幼き王。
賭けたのは国の命運。
巨大な責を負う少年王は、純粋な愛国心と大切な約束のため、意志と力しか持たない男を騎士に認めた。名誉も富も約束されずただ互いの誠実さだけが報奨だった。
敵国から生還した弟は見違えるように大人びていたが、それに気づいたものは少なかった。恐ろしいからと乗れなかった馬も、怖いからと持てなかった剣も弟は手にした。アルフレッダの背中に隠れることもしなかった。
また弟は、自分の力が国を支えられるほど熟達していないことを知っていた。王冠をかぶった子どもが叫んでも人は動かないことを知っていた。
戦場の彼を、人はどんな気持ちで見たのか。
返り血に染まる戦場の死神。
勝利を報せる疾風───いつからか『風見鶏の騎士』とふたつ名が付いた。
ふたつ名をあざ笑うものもいた。『木板の鳥の騎士』と言われても彼は気にしなかった。
ただまっすぐに、戦場の敵を見ていただろう。
忠誠は姫に。
王には勝利を。
彼が得たのは称賛の嵐、憧憬の眼差し、信頼の心。
断ったのは地位と報奨。
今も変わらずアルフレッダの騎士。