いつか叔父の花園に行ってみたいと思う。ほんの数年前まではそれどころではなかったけれど、今なら堪能できる気がする。
 甥や姪たちの手を引いて歩くのもいい。弟たちと東屋でお茶をいただくのもいい。
 彼と……彼はどの木を選ぶだろう。

 昼寝のしやすい木がどんな木なのかアルフレッダにはわからないが、きっと彼の気に入る木があるはずだ。彼の眠る木の下で本を読むのもいい。
 そんな時間ができるなど思いもしなかったが、できることならそんな穏やかな日々が繰り返されたらよいと思う。

 もう、毎日が悲しみと後悔の繰り返しで浸されるのは嫌だ。
 約束した人の帰りを今か今かと待ちつづけるもの。
 亡くした人々の命の重さを知らされるのも、残された人々の泣き叫ぶ姿を目にするのも。
 もう、二度と。



 彼はアルフレッダの護衛と、弟の相談役以外何もしない。
 だから近衛騎士長は訓練前に大声で呼びまわる。行事の前には大臣とともに宰相が、式典の前には針子を従えた女官長が、それらの当日は集まった女性陣が彼を探す。
 そんなときは、彼はたいていここにいる。
 何をするでもなく日々を繰り返す。

 戦場を駆けることもなくなり、主の護衛と王の補佐に費やす毎日。穏やかな顔には闘神の影はなく、美しく、時々こ憎たらしくて穏やかだ。
「退屈?」
「なぜ?」
「戦はもうないわ」
「じゃじゃ馬の子守りに手一杯だ」
「一度でも戦場に行くと、争いから身を離せなくなると聞いたわ」
「争いを遠のけるために行ったんだ」
「でもそのきっかけは、私が頼んだからではないの?」
「じきにここも戦場になった。遅いか早いかだ」
「あなたは……本当は何がしたいの?」
「なんだと思う?」
 アルフレッダは嘆息した。彼がこんな言い方をしたときは絶対に教えてくれないのだ。
「意地悪」