風が強い。髪がなぶられる。

 カン カン

 カン カン

 音に近づいているのかわからない。ただ進む先に光が見える。それだけが頼りだった。



 光に近づくたびに胸の奥に眩暈が生じる。頭の中で嵐が轟々と音を立てる。

 ───警告。

 構わず歩きつづける。まだ何の警告なのかもわからない。
 引き返すには、この胸のざわめきのさらに奥の、干からびかけた者が求める一滴の甘い水の存在が捕らえて放さない。