『フェンネル大陸偽王伝 3 虚空の王者』
(ふぇんねるたいりくぎおうでん 3 こくうのおうじゃ)


高里 椎奈
講談社(2005.06.05)

挿絵:ミギー

内容:(紹介文より)
 衝撃のソルド八世王誘拐から一月───王を捜すため入国したパラクレスでフェンベルクは思わぬものに遭遇する! 恐ろしいほどに王に似た男・クドラ、彼女を襲う女・ベルテ、隠れて建つ謎の研究所。
 この奇妙な謎と王の誘拐に関係はあるのか? そして命を狙われたフェンの運命は?
 謎が渦巻く、王道ファンタジー第三弾!

感想
 十三歳の少女フェンベルクは、本シリーズの主人公であります。一貫して、彼女が主役です。彼女が中心です。彼女のお話なのです。
 が。
 なんだろう。この扱い。
 前巻はまだよかった。ちょっと追いかけられたり捕まったりしたけど、フェン自身にはたいした怪我もなく(友人は大惨事だったが)おおむね平和でした。
 しかし、一巻と今巻はヒドイ扱い。世間の辛さが滲みでています。

 フェンはその荒々しい波に突然放り出されたにもかかわらず、誰も恨まず、ただ淡々と進みます。
 ちょっとヌケてるけどやさしい少女。世間知らずは否めないけど、突き進もうとする強さ。過去の失敗を恐れるだけの冷静さ。
 すごい十三歳です。カキ氷のイチゴ味にはミルクがついてないと嫌だなんて言わないんです。カキ氷があるかもわかりませんが。

 また、一巻目からの主要人物であるテオ氏。
 超重要人物です。
 離れ離れだった娘と再会したのはいいけど、どう接していいのかわからず、ついそっけなくなってしまうお父さん───そんな感じ。
 今回はフェンの心を大きく揺さぶってくれたりと大活躍でした。
 お父さんは転んでもただじゃ起きないんです。


 誰もが納得のいかないまま収まりました。納得せざるを得ない……いや、納得してあげなければならないような、ちょっとツンとくるお話です。
 みんなそれぞれのジレンマや考えをもっていて、どうしても同じ答えを選べない。それは当然のことなのに、ちょっと悲しくなるときもあるのです。

 みんながみんな、同じように幸せであることなんて、きっと夢でしかないんですね。
 少しずつ幸せの定義が違って、答えに対する気持ちもずれていて。我慢するか、納得するか、満足するかはわからないものです。
 フェンの幸せは、どんなものでしょうか?


2005.09.01-02

『フェンネル大陸偽王伝 孤狼と月』 2005.07.14-15
『フェンネル大陸偽王伝 2 騎士の系譜』 2005.07.31-08.01