アルフレッドの正室は同じ歳だが、最初に娶った側室は四歳年上だった。
子どもを産むには彼女のほうがよかった。無口であまり話したことはないが、大柄で肉付きがよく、敗国の娘として従順に従った。
肉付きの悪い十五歳の娘では、骨と皮だけの赤ん坊が生まれそうだ。
『賢明王』の由来はさまざまだ。
国内から正室、元敵国から側室を娶った。敗国の王族男子は根絶やしにされ、宰相一族を一時的な統治者として置いている。
別の元敵国の王女はまだ幼すぎて、アルフレッドの妻とするには品位にかけた。土の塊を果物と称して食わせようとしたのだ。
筆頭貴族の公爵には、今は亡き国の幼い王子の養育を申し付けた。
亡き国はいま中立地として空に浮いたままだが、時期にその王子が成人し、一滴の血も流さずアルフレッドの手にはいるだろう。
東の小国は無血で手に入れた。今でもまったく手を加えず、ただ属国としていくらばかりかのものを納めさせている。
被害も圧制もなく変わらない生活を続けられたことに感謝しているその小国の民は、いざ海賊が現れたとき、先陣を切るだろう。
南西の国は兄王から独立したという新生国だが、大国の後ろ盾を失わないためによく尽くしてくれる。
さらに南西の大国はまだ実態がわからない状態で、次第に聞き出していく予定だ。
新生国に望むのは、従順な間者であることだけ。
まだほかにもあったかもしれない。
けれどアルフレッドにはそのどれもが必要であり、当たり前のことで、褒め称えられる必要性を感じることができない。
また、それらを最初に考えたのはアルフレッドではない。
「ねぇ、コリィ」
姉は未だに幼いころの愛称で呼ぶ。
「子どもが生まれたら、また賑やかになるのね」
父も母も兄も従兄姉も伯父も伯母もいない四人だけの食卓など、考えたこともなかった。
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