仕事の合間を縫って探したのは、身も心も騎士だと豪語し、あまりに仕事熱心で奥方を泣かせた経歴をもつ近衛騎士長。
「私は忙しい。陛下のこと以外で呼び止めないでいただきたい」
 奥方が実家に帰ったわけがわかってしまうイルスだった。

「その陛下のことで聞きたいのです」
 声を抑えて、
「夜のことを」
 騎士長は口元を真剣に引締めた。
「その件なら、わたしもお話ししたいことがある」

 二人は未使用の客室の床に座り、誰もいないというのに膝を寄せた。
「単刀直入に聞くが、陛下の寝室にはいる者はいますか?」
「掃除婦だけです。はいるときも出るときも必ず数えるので、掃除以外の務めを果たした者はいません」
 さぞかし寝台は毎朝綺麗なままだろう。

「それで、話とは?」
 隊長はくっきり髭を震わせ不名誉を告白する顔で
「月に数度、寝室から二人分の声がするのです」
 期待に胸が高まる。
「それは!」
「男の声なのだ」
「……!」
 動悸がした。
 隊長が愛妻家になるより衝撃で、宰相の髪が蘇るより信じがたいことだ。兄が弟と手を繋ぎスキップで遠足に出かけるほうがまだ現実的。
 少女趣味、年増好み、ブス、巨乳がいいと言われたほうがまだ救われる。

 男色なんて!


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