アダルシャンの花嫁

『アダルシャンの花嫁』
(あだるしゃんのはなよめ)

雨川 恵
角川書店 (2004.12)

挿絵:桃季さえ

内容:(紹介文より)
 最強の誉れ高いカストリア帝国軍を、新興のアダルシャン王国が破った。予想を超えた幕切れに周辺諸国が騒然となる中、アダルシャン王弟にして常勝の英雄アレクシードのもとへ、和睦条件の政略結婚話が舞い込んできた。なんと花嫁のユスティニアは、先日までの対戦国だった大カストリア帝国の第六皇女。ところがこの姫君、まだたったの十歳で……!?
 読者支持率No.1!
 第二回角川ビーンズ小説賞<読者賞>受賞作!!

感想
 驚くべきことに主役アレクシード君は多趣味です。
 貴人としての嗜みなのか、単に物が捨てられない質なのか、はたまた欲張りなのか。
 体育会系で、ブラコンで兄に苛められると安心するMで(主役として問題大有り)、年上好みで密かに姉に禁断の想いを寄せつつ(儚すぎる夢だ)、友人兼近衛騎士フラッドにからかわれながらも新たな快感に目覚めていく、主人公とは言いようのないダメダメさが漂っていて愉快です。
 なぜまたそんな……。お兄ちゃんの教育の賜物でしょうか。

 花嫁ユスティニアが、年相応だったり大人び過ぎる嫌いがありますが、総じて可愛くストライクど真ん中。アレクシードとの出会いの場面ではもう、鼻血がドバドバいえ出てませんとも一滴たりとも。
 もっとアレクシードや周囲を振回してもよいのよ、姫。

 内容的には面白いんですが、文章が淡泊なのか、うまく感情移入できませんでした。
 興奮もなかったです。
 中盤二人が仲良くなりかけたところは、もう少し盛り上げて、終盤のお兄ちゃんと騎士の会話は削っても良かったかも。ただでさえ主人公の影が薄れがちなんだから。

 総合的に見ると、王子様で未婚で強くってなかなかカッコいいのに、素晴らしすぎる環境に恵まれて可愛そうです。

 お幸せに。


2005.08.07-08